お金を多く持っている反社会的勢力の人間。不動産を買うと税務署に目を付けられるため、数千万円の超高級時計をつけていることが多い

反社会的勢力がターゲットにするのは、金持ちや芸能人だけじゃない。では一般人にはどう近づいてくるのか? どのように見分けるのか? 元警察官らに、その手口を聞いた。今こそ、必読だ!

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■反社会的勢力は、どんな人にも近づいてくる

反社会的勢力のパーティに出席していたとして、「解雇」や「無期限謹慎」の処分を受けたお笑い芸人たちのニュースが世間をにぎわせている。

「反社会的勢力とわからなかったのか?」という声も多いが、簡単に見分ける方法はあるのだろうか?

『怒羅権』(文春文庫)などの著書があり反社会的勢力に詳しいノンフィクションライターの小野登志郎(おの・としろう)氏が語る。

「暴力団や半グレなどの反社会的勢力は、カタギ(一般人)からお金を巻き上げるのが仕事です。昔は怖い格好をしていましたが、今は怖がらせたら寄ってこない。そこでカタギと同じような普通の服を着ています。ですから、見分けるのはとても難しいでしょう」

元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平(おがわ・たいへい)氏も同意見だ。

「外見ではなかなか判断できません。ただ、反社会的勢力の人間はめちゃくちゃ高い時計をつけていることが多い。しかも"腕につけるベンツ"と呼ばれる1000万円オーバーのもの。彼らはお金をたくさん持っているけれども不動産をほとんど買わないんです。

なぜなら不動産を買うと税務署がやって来て、原資などお金の出どころを聞かれるから。一方、いくら高い時計を持っていても税務署はやって来ませんよね。それで数千万もする時計をつけているんです。

それから、夏でも半袖を着ない人は注意が必要です。腕に入れた入れ墨を見られたくないために長袖を着ている可能性がある」

また、ある行動からも反社会的勢力かどうか見分けられるという。

「100万円、200万円といった高額な支払いを現金で済ませて、しかも『領収書はいらない』という人は危ないです。普通、高額な支払いはカードで済ませることが多いのに、なぜ現金を使うのか。それはマネーロンダリングできていないお金だからです。

100万円、200万円といった大金を自ら進んで払う人は、そのほとんどが節税対策のためで、必ず領収書をもらいます。なぜ反社会勢力の人間は領収書をもらわないのか。それは節税対策がいらない裏のお金だからです」(小野氏)

ほかにも「あの人とはザブトン(格・役職)が違うから五分の話ができない」とか、額に親指と人さし指で輪をつくったり(警察の意味)、左胸のところで同じように輪をつくったり(政治家の意味)、一般の人にはわからない隠語やしぐさで会話をしている人たちは注意が必要だという。

■投資セミナーやSNSは危険!

では、高級な腕時計をしていたり、高額な支払いを現金で済ませている人のそばに行かなければ安全なのか?

ひとりで飲んでいるときに誘われる場合もあります。『この店にはよく来るんですか?』『いい店ですよね』『ラインのID教えてもらっていいですか?』『これも何かの縁ですから、今日は僕のほうで支払っておきますよ』などと言って仲良くなり、その後、何度か一緒に飲んでいろいろな情報を引き出すのです」(小川氏)

「『何かお困り事はありませんか?』と聞くのではなく、普通の会話で相手から悩み事を聞き出す。『不倫している』とか『小遣いが少ない』とかなんでもいい。そこにつけ込んで不倫の現場を押さえたり、お金を貸したりするんです」(小野氏)

こうしてからめ捕られた一般人は、その後、どうなるのか?

「証券会社に勤めていたら『インサイダー情報を持ってこい』、銀行員だったら『融資証明書を持ってこい』と言われます。8億円の融資証明書を持ってこさせて、別の金融会社から『8億円の証明書があるのでつなぎ融資で5億円だけお願いします』とお金を借りる。そしてドロンです。

公務員だったら、許認可関係。野球選手やサッカー選手、力士だったら、八百長をさせる。マスコミだったら有名人を紹介させる。どんな職業だって、お金を引っ張られます」(小川氏)

自分は中小企業のサラリーマンだから、お金もないし反社会的勢力も近寄ってこないだろうと思うかもしれないが、それも甘い。

「『疲れているでしょう』『最近、よく眠れていますか?』『いい薬ありますよ』と言って覚醒剤を渡される。細く長い付き合いを求めてくるんです」(小野氏)

とはいえ、さすがにこちらが働いていなければ、お金がないので取られる心配もないのでは?

「例えば、『海外でいい仕事があるよ。テレフォンアポイントメントで最低でも月20万円。うまくやれば100万円。それも9時から15時までの勤務』などと誘います。

そしてタイなどに連れていかれて、テレアポのマニュアルを見ると振り込み詐欺だということがわかる。しかし、パスポートを取られてしまっているため、日本に帰ることもできなくなる」(小川氏)

じゃあ、飲みに行かなければいいのか? しかし、元警察官で危機管理コンサルティング会社「誠・シークレット・サービス・コンサルティング」代表の田丸 誠氏が話す。

「SNSなどで無防備に情報を発信している人は気をつけたほうがいい。特に海外旅行や高級料理店での食事、かわいいコと遊んでいるような写真をアップしている自己顕示欲の強い人は、反社会的勢力につけ込まれやすいからです

また、最近「老後に2000万円の資金が必要」と言われるため、投資セミナーやサロンなどをやっている反社会的勢力も多いという。

反社会的勢力の詐欺師は、すごく魅力的なんです。オシャレな服を着て、高級品を身につけ、話が面白くコミュニケーション能力が高い。カリスマ性がある。

そのため、この人のセミナーやサロンに入るといい情報がもらえて、儲かるかもしれないと自分から近づいてしまう。そして、お金を巻き上げられる。ラクして儲けようなんて思わないほうがいいですよ」(小野氏)

こうした事例は、ほんの一部にすぎない。あの手この手を使って、近づいてくる反社会的勢力の人間。そこから逃げるには、欲を出さずにつつましく生きるしかなさそうだ。