忘年会も新年会も花見も納涼会も社員旅行も、人望のない上司たちの慰安会なんですよね

昨年末、若者の間で「#忘年会スルー」というタグが流行。ダウンタウンの松本人志は自身の番組内で「上司は上司で無理してやっているところもある」と、目上の立場の人間の思いを推測。「新年会」は、果たして......。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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昨年末は「#忘年会スルー」が話題になりました。職場の飲み会に参加したくないのは、若者も中年も同じでしょう。あれって純粋に楽しんでいるのは正味数名だと思うんですよね。日頃まともに信頼関係を築く努力をせず、肩書で人を集めて自慢話や執拗(しつよう)ないじりで悦に入る人たちは、どこの職場にもいるもの。

そんな不毛な時間で人生を浪費したくないですから、当然この時期は新年会もスルーしたいところでしょう。

私もこの手のイベントは苦手で、15年間の会社員生活でもその後の人生でも、いわゆる組織主催の飲み会にはなるべく参加しないようにしてきました。

そうそう、会社を辞めるときの送別会も全部断りました。本当にちゃんと送別したいと思ってくれる人は個別にランチや会食に誘ってくれたし、廊下や職場で声をかけてくれたりメールをくれたりしたから、もうそれで十分だと思ったんです。

それまでほかの人の送別会に出たこともありましたが、たいていの出席者は辞める理由を詮索したいだけで、なんだかどろっとした空気が漂っている。そのうち当人そっちのけで職場の悪口大会や人事の話になっていたりして。だったらふたりでゆっくり話して送別したほうがいいですよね。

職場の仲間は家族同然どころか家族よりも優先するもの、なんていう時代はとっくに終わっているし、そういう人生丸抱えの雇用形態がパワハラやモラハラの温床にもなっていたのだから、「#忘年会スルー」を公言する人が増えたのは歓迎するべきことです。

「貴重な若者とのコミュニケーションの機会なのに」と嘆く人もいるようだけど、普段職場で一緒なんだから、機会はいくらでもあるんじゃないでしょうか。

なんでお酒を飲まないとコミュニケーションにならないのか。あなたが飲んでいるときにいったいどれだけの部下や後輩がお酌やら料理の取り分けやら自慢話へのお愛想やらで消耗しているかご存じか。肩書にものをいわせて強制招集した上にお酌までさせて、どんな信頼関係が築けるというのでしょう。

飲まないとできない話もある、って力説する人もいるけど、翌日には覚えていないでしょう? なんか人生訓を垂れた気になりたいだけでは。私はお酒がほとんど飲めないので、酔っぱらいの話なんてまったく真に受けないし、実際これまで一度たりとも飲みの席の話が大きな仕事につながったことも人生を変えたこともないです。

一方、会いたい人たちと楽しい時間を過ごし、いろんなアイデアをシェアして実現した企画はたくさんあります。

つまりは忘年会も新年会も花見も納涼会も社員旅行も、人望のない上司たちの慰安会なんですよね。そんなもんに付き合っていられるかよと思う人が増えたのは喜ばしい限りです。宴会は、ほんとに会いたい人とだけ。皆さまどうかお健やかな一年を。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。対談集『さよなら!ハラスメント』(晶文社)が好評発売中

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