■停電や断水。タワマン住みは地獄!?
昨秋、日本各地に多大な被害をもたらした台風19号。なかでも都心で暮らす人々を驚かせたのはタワーマンション林立エリア、神奈川・武蔵小杉のタワーマンションの1棟で起こった長期にわたる停電と断水だった。「タワマンはやはり災害に弱いのでは?」と信用を揺るがす事態となった。
それでも高層階の景色は良さそうだし、心のどこかで少し憧れがあるのも事実。果たしてタワマンは暮らしやすいのか? 実際に住む人たちから天国と地獄のエピソードを集め、あらためて検証してみた!!
■タワマンの真骨頂。「天国」エピソード
まずは集まった「いい」エピソードから。
●マンション内施設
「何より共用施設が充実しているのが魅力。展望ラウンジにジム、キッズルームやシアタールームもあり、1階にはコンビニやドラッグストアなども入っている。台風の日も子供はキッズルームで走り回って、家族全員ストレスなく過ごすことができました」
マンション内で1週間くらいなら生活ができそうとのこと。また、こんな意見も。
●ゴミ処理が楽
「各階にゴミ置き場があるので数十歩で24時間ゴミが捨て放題。すぐに捨てられるので、家の中にゴミがたまることはない。さらに、キッチンにディスポーザー(シンクの排水口部分についていて、生ごみを自動で処理してくれる)も備えつけられているので、共用のゴミ置き場に生ごみが出ず、悪臭が立ち込めることもない。当然、ゴキブリを見かけたこともないです」
害虫が出ない環境は素晴らしい! そして、やはりタワマンの最大の長所といえば。
●景色はやはりいい
「夜景がキレイなのは気分がいい。東京タワーにレインボーブリッジ。仕事から帰ってきて毎日飲むビールも勝利の美酒のように感じます」
ただの自慢のようだが、高級なタワマンにはさらにこんなスゴいサービスも。
●コンシェルジュの存在
「1階のフロントにコンシェルジュが24時間駐在している。来客はすべてここを通らないといけないので、セキュリティ面も安心。また、不在時には荷物も預かってくれるし、タクシーの手配やゴルフ場の予約までしてくれる。優しいコンシェルジュは子供の話し相手にもなってくれます。もはやホテルに住んでいるような感覚です」
確かに普通のマンションにはないサービス。では、肝心の災害に対する感覚は?
●意外と災害に強い
「地震には強い印象。会社にいてけっこう揺れたので、妻に『地震大丈夫だった?』とメールすると『え? 何も気づかなかった』と返信があることもしばしば。ただ、免震構造なので震度4以上の大きな地震のときは、しばらくの間ユラユラと部屋が揺れています。換気ダクトもその揺れに合わせて『ギーッギーッ』と音を立てるので気味が悪い(笑)。
火事に関しては、ウチのマンションにはヘリポートがついているので、高層階に住む人は屋上に逃げればヘリが助けに来てくれるのではと思っています」
という声だが、災害対策は重要なところなので、住宅ジャーナリストの櫻井幸雄氏にも意見を聞いてみた。
「建築基準が厳しいため大地震でほかのマンションが倒壊しても超高層マンションは残るでしょう。また、火災に対しての備えも多く、はしご車が届かない高層階の住戸には必ずスプリンクラーがあります。
2017年のイギリスの高層マンション火災の印象が強いですが、あの建物はスプリンクラーがなかったようです。また、ヘリポートのない建物でも屋上にはホバリングスペースがあるため、ヘリコプターによる救助も可能です」
地震や火災の対策は大丈夫そうだ!
■思わぬ落とし穴。タワマンの「地獄」
それでは、逆に「悪い」部分のエピソードを。まずは災害対策に関して。
●火災報知器が信用できない
「火災対策が万全ゆえ、各戸にスピーカーがついていて、火災報知器が作動するたび全戸に轟音(ごうおん)の警報が鳴り響きます。うちのマンションは2ヵ月に1度のペースで真夜中に『火事です! 1階から出火しました!!』と流れる。夜中の2時頃に起こされるので腹立たしく思いつつ、あまりの高頻度に『また酔っぱらいの仕業だろう』ともはや信じていない。警報がオオカミ少年のようになっていて、本当に火事が起こったときが心配」
こんな迷惑酔っぱらいのように、タワマンは住戸数が多く、いろいろな人が住んでいるがゆえの不安も多いようで。
●隣人は何者!?
「隣に住む外国人が毎週末のようにベランダで宴会をやっていてうるさい。玄関のドアには毎朝、複数の外国語の新聞が大量に差さっているし......いったい部屋に何人住んでるの!?」
「ふたつ隣の部屋はドアが開くたびに違う女性が出てくるので不思議に思っていましたが、どうやらデリヘルの拠点になっているみたい。最近ついに、その部屋から出てきた女性がマンション内の別フロアに向かおうとするシーンを目撃。呼んだ住民は『やけに到着が早いな』と思ったでしょうね」
ほかにも、謎ではないが、こんないやな住民の話も。
●住民のプライドが高い!?
「高層階に住む住民がエラそうにするタワマンヒエラルキーという言葉もありますが、駐車場内でもプライド合戦が起こっています。これ見よがしにスポーツカーのエンジンをふかして『キャキャキャッ』と大きなタイヤの音を鳴らす。『ここでそんなスピード出す必要ある!?』とツッコミたくなります」
住民だけならまだいいが、関係ない人が迷惑なことを引き起こすケースも。
●住民が呼ぶ客がウザイ
「展望ラウンジで、週末よくわからない若者が集まってパーティを開いている。時間によっては1階のエレベーターホールが順番待ちの混雑でクラブのような状態になることも。そういう日はたいてい共用トイレもゲロまみれ。特定の住民がラウンジを押さえているか、自分は一度も使えたことがありません」
「ジムに行くたび、明らかに住民じゃないやからが大勢集まって筋トレセミナーのようなことをしています。使いたいマシンを占拠されているけど、怖くて何も言えない」
便利な共用施設も時としてトラブルのもとに。そして、セキュリティ万全とはいえ、カギを持った住民がひとりいるといろんな人が入れてしまうのも現実のようだ。さらに、便利なはずのコンシェルジュへの不満も。
●荷物を誰かに渡しちゃった
「宅配便の荷物を受け取ろうと1階エントランスのインターホンを受けても、順番に上層階から配達しているので、下層の自分の部屋に荷物が届くのは1時間後なんてことも。面倒なので、いつもコンシェルジュに預かってもらうのですが、先日、宛て名をよく確認せず誰かに渡してしまった。サイン名義の住戸がなく、行方不明になるところでした。防犯カメラの映像からなんとか探してもらって、荷物は返ってきましたけど」
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というように、タワマンライフは天国と地獄がまさに表裏一体。住むべきか住まないべきかを決めるのはあなた次第! といったところ。