『パラサイト 半地下の家族』のワンシーン。本作で描かれる半地下の家は浄化槽と同じ高さで、下水の逆流を防ぐためトイレがやたら高い位置に。実際の韓国の半地下住居はここまで極端な例はまれだが、やはりトイレが通常の家よりも高めに設置されていることは多い (C)2019 CJ ENM CORPORATION,BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

昨年のカンヌ国際映画祭で韓国映画史上初めてのパルムドールを受賞した『パラサイト 半地下の家族』が日本でも公開され、大きな話題を呼んでいる。

格差と貧困という、わが国にとっても人ごとではない社会問題を主題に据えながら、抱腹絶倒のコメディと身の毛もよだつスリラーをミックスした娯楽大作で、米アカデミー賞にも6部門でノミネートされている(発表は日本時間2月10日)。

本作の魅力のひとつは、その卓越した舞台設定だ。主人公の一家が暮らす「半地下」という韓国特有の住居形態には、映画を見た誰もが興味を惹(ひ)かれるだろう。家賃が格安で、所得の低い人々が選ぶという半地下物件、その実態は? 現地で住人たちに話を聞いた。

柵などで窓をガードしている半地下の家も少なくない。雨水や砂ぼこりが流れ込みやすいのはもちろんのこと、酔っぱらいが立ち小便をして大惨事、なんてこともあるからだ

「電気も水道も通ってるし、問題ありません。快適ですよ」(半地下暮らし約1年の男性)
「台風の季節は入り口から雨水が入ってくるのが厄介」(半地下で美容室を営む女性)

住めば都か、それとも? 

■文筆家・前川仁之が現地を徹底取材。映画のロケ地も訪れた日本一早い「聖地巡礼」ルポは、『週刊プレイボーイ7号』(2月3日発売)特集記事『韓国「半地下アパート」の生活実態!』にて。