理不尽な差別が起きないように正しく情報を知ることが大事

中国の武漢で発生した新型コロナウイルスの流行を受け、テドロスWHO事務局長は緊急事態を宣言。2月3日12時現在で日本国内でもすでに20人の感染者が確認されており、世界的なパンデミックが懸念される。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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先日、新幹線の近くの座席に中国語を話す親子が座っていました。反射的に一瞬「大丈夫かな」と思ってしまった自分に驚きました。冷静に考えれば、中国語を話すだけでほかの人よりもウイルスに感染している可能性が高いと断じるのは全然論理的ではありません。

その親子連れもマスクをしています。彼らも私と同じように、ただでさえインフルエンザやノロウイルスが猛威を振るうこの時期に、新型コロナウイルスの心配もしなくてはならず不安な思いをしているのです。

フランスなど海外では、感染への恐怖が引き金となって東アジア系の住民に対する差別が激しくなり、問題になっています。東アジア人のひとりとしてこのニュースに憤っていましたが、自分にも同じような心の動きがあったことに気づいてショックでした。

日本には中国の人もたくさん暮らしていますから、理不尽な差別が起きないように正しく情報を知ることが大事だと、あらためて自戒しました。

時々刻々と変わる新型コロナウイルスの状況ですが、感染しても無症状の人もいることがわかってきて、感染拡大を食い止めるのは困難を極めそうです。すでに各種メディアで報じられているように、インフルエンザ対策と同様の「手洗い、咳(せき)エチケット、栄養、睡眠」を徹底するのが最も確実にできる予防策といわれています。

各地でマスクが売り切れになって高額転売が問題になっていますが、通常のマスクではウイルスがくぐり抜けてしまうので感染を防ぐことはできないとのこと。あくまでも、咳の症状がある人が周囲に飛沫(ひまつ)を広げないためにつけるものなのですね。それでも習慣的につけているほうが安心だという人は多いでしょう。

私ももともと喉が弱く、花粉にも悩まされるので冬場はマスクが欠かせません。今年もいつもの習慣でつけていますが、今回の報道で、マスクの表面を触るとウイルスなどが手指につき、その手で目や鼻や口に触れるとかえって感染のリスクを高めることになると知りました。

ただつけていればいいというものではないのですね。とにかく手で顔を触らないこと、手洗いや消毒を徹底することが大事だと再認識しました。

コロナウイルスに限らず、インフルエンザやノロも目には見えません。どれほど気をつけても感染することはあります。病気になると「たるんでいるからだ」「体調管理がなっていない」などと叱られることがありますが、ワクチンや予防策を完璧にしていても、感染することはあります。

感染した人を責めると、人に言えなくなり、症状を悪化させたり、感染を拡大させることにもなります。感染症にかかった人が、安心して休んでしっかり治せる環境をつくることが重要です。精神論でウイルスが退治できると思う人は、どうか冷静になってほしいです。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。対談集『さよなら!ハラスメント』(晶文社)が好評発売中

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