巣ごもりの不安のなかで、人生の優先順位をじっくり考えてみるのもいいですね

新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、テレワークの推進を進める企業も増加。3月に比べ、4月には正社員のテレワーク率が倍増しているというデータも(パーソル総合研究所調べ)。一方で、「ハンコをもらうために出社」というケースも。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

* * *

テレワークで体重増加! 周囲で多発している悩みです。でも、非常時の生物としては正しい反応と言えますよね。未知の感染症をやりすごすために巣ごもりするときには、養分をしっかり蓄えるのが正常な防御反応でしょう。

ついつい食べすぎてしまうのも悩みですが、気をつけなくてはならないのがアルコール。知人のメンタルヘルスの専門家は、コロナ危機で在宅勤務や休職となった人が、アルコールの問題を抱えるケースが増えていると懸念しています。

テレワークなどで自宅にいると、不安や孤独を感じるもの。アメリカの医療保険会社の調査によると、孤独は一日にたばこ15本を吸うのと同等の健康へのダメージを与えるそうです。

テレワークや休職が長引くと、先が見えない不安からメンタル面での不調を感じる人も増えるでしょう。自分は関係ないと思わず、お酒の量が増えていないかチェックしてみるといいかも。しんどい気持ちは、自治体の心の相談窓口にチャットや電話で打ち明けると少し軽くなるかもしれません。

仲間と吐き出し合うのもオススメです。私には日本よりも先に自宅にこもる生活をせざるをえなくなっている海外在住の友人たちがいます。

米ニューヨークとスペイン・バルセロナで暮らしている彼らは、生活の不安と感染の恐怖でかなり追いつめられています。心配なのでお互いにまめにメッセージをやりとりしたり、電話で話したりして、不安を打ち明け合うようにしています。ニューヨークの友人は「もう8日間も人と話していない」ということもあり、私も現在ひとり暮らしなので人ごとではありません。

こもるストレスの一方で、自宅にいたいのにハンコのために出勤せざるをえない友人もいます。なぜ感染リスクを冒してまで......と腹立たしくてならないと。そうですよね。今回、自分の勤めている会社が危機に迅速に対応できるか否かよくわかったのではないでしょうか。

早めにテレワークに移行できた会社は、危機の前から準備を進めていたところが多いようです。定時にオフィスに集まって遅くまで残業し、得意先とは夜の付き合い......という働き方では生産性が上がらないと気づいて、いろいろな働き方を可能にしようと動いていた組織は、今回の危機にも慌てずに済んだでしょう。

コロナ危機をきっかけに、従来のような働き方が非効率的だと気づいた会社も多いはず。テレワークやオンラインでの会議が当たり前になっていくでしょう。

巣ごもりの不安のなかで、人生の優先順位をじっくり考えてみるのもいいですね。どんな働き方をしたいのか、何を大事にして生きていくのか。不安はひとりで抱え込まず、オンラインで愚痴って発散するのが肝心です。お酒は控えめに、心の隙間は雑談で埋めるのが得策です。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。佐藤愛子との往復書簡集『人生論 あなたは酢ダコが好きか嫌いか 女二人の手紙のやりとり』(小学館)が5月8日発売予定

★『小島慶子の気になるコト』は毎週水曜日更新! ★