ビジネススーツは礼服にして、よほど特別なとき以外は着ないことにしたらいい

8月17日に静岡県浜松市でこれまでの国内最高気温と並ぶ41.1℃を記録。抜本的な暑さ対策が急務だ。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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このすさまじい酷暑で、東京では8月の熱中症による死者が24日現在で170人、8月では過去最悪のペースとのこと。本来ならば東京オリンピック・パラリンピックが開催されていたと思うと恐ろしいです。

先日は炎天下で生中継をしていたフジテレビ系『直撃LIVEグッディ!』のディレクターが中継中に具合が悪くなったにもかかわらず対応が遅れ、番組が批判されました。

ちょっとそこまで、と外出しても熱中症になることもありえます。私も先日、珍しく日中の気温が26℃ぐらいだった日に調子に乗って竹芝から芝の増上寺まで歩いたら、マスクをしたまま呼吸困難になって境内で行き倒れそうになりました。

もし来年の夏やるのなら、オリパラ選手たちも観客も、かなりきついのではないかなあ。東京で熱中症にかかる人は今年の比ではないかもしれません。

せっかく延期になったのだから、今からでも予定していた暑さ対策が実際にどの程度機能するのか、試すのがいいでしょう。あの全国に衝撃を与えた「かぶる日傘」の実証実験をする絶好のチャンスです。

しかし小池百合子都知事も職員の皆さんも、街中でも、誰ひとりかぶっていないのは残念な限り。発表記者会見で着用し無表情をとおしたあの男性職員は、今夏、実際にかぶって通勤を命じられたりしていないのでしょうか。熱中症予防効果や使用感など、貴重なデータが得られるはずです。

「打ち水で涼しく」作戦も、マスクを着けて打ち水をやってみて、むしろ熱中症のリスクがあって難しいとなれば、たぶん来年も状況は同じはず。

これから毎年このレベルの酷暑だとすると、これまでの生活習慣を変えないといけません。もうビジネススーツは礼服にして、よほど特別なとき以外は着ないことにしたらいい。

男性はワイシャツの代わりに中東の衣服のようなゆったりと風通しのいい上着を着たら、通勤も外回りもだいぶラクになるはず。日傘使用も推奨されています。動きやすさからいったら、やっぱりあのかぶる日傘がいい気がしますね。

これからの日本男性のビジネス夏服はかぶる日傘にゆったり上着を新定番にすればいいんじゃないでしょうか。一斉に買い替えれば落ち込んだアパレル需要の喚起にもなるし、暑さで体調を悪化させる人も減るでしょう。

スーツで苦しんでいた人々のクオリティ・オブ・ライフが改善して、街に満ちている殺気が和らぐのでは。暑いのに快適な服装で過ごせないって、かなりメンタルやられますからね。暑い格好をしていると室内の冷房もきつくなって環境負荷が大きくなる。いいことなしです。

来夏、「去年試しておけば」と後悔しないように、今のうちにいろいろと改善策を練っておいてほしいものです。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。『曼荼羅家族「もしかしてVERY失格!?」完結編』(光文社)が好評発売中

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