2016年に「育休不倫」で世間を騒がせた前衆議院議員・宮崎謙介氏の妻・金子恵美氏。現在は「元衆議院議員夫婦」としてふたりそろってテレビで見かけることも増えているけど......。
騒動後、彼女はなぜ離婚でなく、夫を許し共に歩む道を選んだのか!? 素朴な疑問を感じていた方も少なくないはず。自身初となる人生の指南書『許すチカラ』の出版を通して4年越しに当時の真実と考えを明かした金子氏を直撃した。
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金子 週プレの取材と聞いて気合いを入れてきました。水着になりましょうか?
――今日は大丈夫です! それより、現在のおふたりは本当に仲がいいのでしょうか?
金子 そうですね。共演する姿を見て「仮面夫婦」「ビジネス夫婦」などと言われることもありますが、普段もテレビなどでご覧のとおり、家族で幸せに暮らしています。一点皆さんが抱くイメージと違う点があるとすれば、私が夫を尻に敷いている感があるかもしれませんが、実は亭主関白であるという点でしょうか。
――あれだけのことがあってまだ亭主関白。不倫を許した経緯を教えてください。
金子 イクメンになると宣言しながら妻の妊娠中に浮気をした男ですから、皆さまから「なぜ許したのか」と言われることも当然と思います。それも私の場合は、「週刊誌に載る」と報告を受けたのが出産した当日でした。でも、彼の口から詳細を聞いた私の最初の感想としては「なんだ、女性関係か」という安堵でした。
――どういうことでしょう!?
金子 金銭問題や薬物問題など刑法に触れるものでなくてよかった、それなら彼はまだ政治家を続けられるかもしれないと。もちろん女性として裏切られたという腹立たしさはありつつも、それ以上に、私が彼に抱く政治家としての尊敬の念のほうが大きかったんです。
相手を許せるかどうかは、相手と過去の時間の中で築いてきた関係や尊敬などの合計値が、許せないと思う値より大きいかどうかによって決まると思います。
――ご家族の反対などはどう乗り越えました?
金子 姉は反対していましたが、元政治家でもあった父は「とにかく新しく誕生した子供を中心に、子供のことだけを考えて生活していこう」と言ってくれました。「政治家の女性問題なんて、昔はいくらでもあったよ」とも。
父が前向きな発言をしてくれたことは、大きな心の支えになりました。父も私も政治家としてさまざまな人々と話をする機会に恵まれていたので、いろいろな考え方に対する寛容さはあるほうだったと思います。
――許したことに後悔はないですか?
金子 あのことを機に、自分が本当に大切なものは何かということを見つめ直すことができました。周囲にどう思われてもいいという気持ちになったことで、一番守りたいものが見えた。それが宮崎であり、息子であり、家族でした。
自分はなぜ許すのかと考えることで、自分の軸となる考えと向き合うことができたと思います。
――世の中には、金子さんのケースとは逆に奥さんに不倫される男性もいます。そんなときに「許そう」と思えるアドバイスが欲しいです!
金子 パートナーをヴィンテージ家具だと考えるのもひとつの手。大切なソファも使ううちに傷ついたりしますが、その傷も含めて味で、破れた場合も修復することでより長持ちしたりします。乗り越えることでより強い関係がつくれると考えれば、許す気持ちになりやすいのではないでしょうか。
――一方で、不倫がバレてしまった男性は宮崎氏の「許されるチカラ」に憧れます。彼はどんな償いをして許されたんでしょう?
金子 騒動後、彼は毎日日記をつけていたのですが、その内容や字面を見ることで、彼がどれだけ本気で反省しているか、また精神的にダメージを受けているかなどを感じ取ることができました。言葉以外の方法で誠意を感じさせるひとつの方法かもしれませんね。
――ほかにも男性が宮崎氏を見習うべきポイントがあれば教えてください!
金子 反省の姿勢ということではありませんが、会食に行ったら「おいしかったから」と必ず私にもお土産を持って帰るとか、私の機嫌が悪かったらさっと子供と一緒に外へ行きひとりの時間をつくってくれるとか、夫婦生活を円満にするための工夫は彼なりに行なっていると感じます。
「年に一度、旅行に連れていってるだろう」というような大きな一回のプレゼントよりも、日々のちょっとした配慮が奥さんの精神のためにプラスになると心得ましょう。
――ちなみに、金子さんが許せないと感じる不倫問題ってありますか?
金子 基本的に夫婦間のことなので第三者が口を出すことではないと思います。ただ、芸能人が記者会見で奥さまと不倫相手の「どちらが好きですか?」と聞かれ、明言を避けたことがありましたが、あれは奥さまの尊厳を踏みにじる対応だったと思うので、私でも許せなかったと思います。
また、不倫相手の女性が言い訳として「男性が奥さんと別れて独身になると言ったので」とコメントすることもありますが、ふたりの間だけで交わされた言葉をオフィシャルにする行為も奥さまへの敬意がまったく感じられないので許せないですね。
――不倫以外のシーンでも、許せないことがあるとか。
金子 昨今の世の中を見ていて目に余るのはSNSでの誹謗中傷。人間関係において「これだけは言ってはいけない」という決定的な言葉というのがありますが、相手の顔が見えないネット上ではそれが飛び交っています。
現代社会が多様性に不寛容であることが浮き彫りになり、ひとりひとりが「許すチカラ」をもっと持つべきだと感じる瞬間です。窮屈な世の中と個人への負担が多い社会に原因があるので、政治が解決しなければならないのですが。
――では、最後に言い残したことはありますか?
金子 宮崎が喜ぶと思うので、週プレのバックナンバーを何冊かお土産に持って帰っていいですか? 彼、人妻が好きなので、あまり若い方のグラビアばかりじゃない号で。
――どうぞ! お幸せに!
●金子恵美(かねこ・めぐみ)
1978年生まれ。新潟県出身。前衆議院議員のコメンテーター。早稲田大学第一文学部卒業後、新潟放送勤務を経て、03年にミス日本関東代表に選出。07年新潟市議会議員選挙に立候補し当選。新潟県議会議員を経て、12年に衆議院議員に初当選。16年には総務大臣政務官に就任し、放送行政、IT行政、郵政を担当。10年間の議員生活を経て、現在は企業顧問とテレビコメンテーターを中心に活動中
■『許すチカラ』
(集英社 1000円+税)
前衆議院議員で現在はコメンテーターとしても人気を集める金子恵美氏が、自身に起こった不倫問題の真実と現代に必要な"許す力"を説く一冊。世間一般論から言えば許し難いパートナーの不倫をなぜ許すことができ、どのように夫婦として再生したのか。芸能人の不倫が報道されるたびにエキセントリックに騒がれる昨今、そしてSNSでの炎上・誹謗中傷渦巻く現代において、日々を穏やかな気持ちで生き抜くために必読の書!