お笑い芸人「マシンガンズ」として活動するかたわら、「ゴミ清掃員」としても日々働く滝沢秀一が、ゴミの捨て方を指南する連載「ベンキマンの捨て方」がスタート! ただし、ここで扱うゴミたちは架空のものばかり。あの漫画で出てきたあの道具や、映画で見たあんな機械など......。実在しない架空のゴミを、現実世界ではどう捨てればいいのか? 前代未聞のファンタジーゴミ連載!

【捨てるもの第2回】「油風呂」で使った油(魁!!男塾)
1985年より連載がスタートした漫画「魁!!男塾」(宮下あきら)に登場する、"男塾名物"のひとつ。油を張った大きな鍋を火にかけてそこへ入り、油に浮かべたロウソクの火が消えるまで根性で耐え続けなければいけないという、恐怖の拷問。よって、かなり大量の油が使用されている。

まず、男塾の所在地がどこかによって状況が変わってきますね。自治体によっては油を回収している所があるんですよ。岡山県では、家庭で使ったサラダ油をペットボトルに入れて集めて、それを燃料にしたバスを走らせています。東京だと杉並区や小金井市は油を集めてますね。小金井市ではゴミを細かく分別していて、小学校には生ゴミ処理機があります。そこで食用油も集めていてるので、そこに出せばリサイクルできますね。

そういう特別な地域でなければ、廃油を固めて処理する凝固剤を使えば大丈夫かな。ウチで使っている普通の鍋で1袋だから、30袋ぐらい使えばいけると思います。固めたら、あとは「可燃ゴミ」で出してください。

でも、これだけの量の油だったら、「家庭用ゴミ」とは認められず、業務用扱いだと思うんですよ。もし集積場に出されていたら、僕なら「回収できません」ってシールを貼って置いときますね。店や事務所から出すゴミって、東京だと事業系のゴミ処理券を買って貼らないといけないんです。たまに食堂の調理場などから出たゴミを持ち帰って、自宅で捨てる輩がいるんですよ、そうすればタダで捨てられるからって。住宅街の集積場に大量の玉ねぎの皮とか出ていたりするんですけど、そういうのってバレますからね

男塾は一応学校だから、そこから出た廃油は「事業系ゴミ」です。我々は家庭ゴミしか回収していないから、ここまで大量の油は業者に頼むべきだと思います。学校の校庭に流して捨てたら不法投棄! 1000万円以下の罰金ですよ。

そういえば、廃油凝固剤で僕がオススメしている使い方があって。

封筒やハガキって、シュレッダーにかけるじゃないですか。それをそのまま捨てるとただの燃えるゴミなんですけど、冷えた油に入れちゃってください。その油を固めると、固形燃料になるんです! それを適当なサイズに切断すればキャンプでも使えますね。固めた油だけで作ると火はすぐに消えちゃうんですけど、シュレッダーのゴミを入れると、ちょうどよく燃えるんです。男塾の油風呂で使った燃料なら、物販でも売れると思うんですよ。男塾の新しい名物になるかもしれない。

廃油凝固剤がない場合は、キッチンペーパーに吸わせて捨てても問題ないです。ただ、油をビニール袋に直接入れて捨てる輩とかいるんですけど、それはとんでもないです! 水分は捨てないで下さい。あと燃やしちゃうのもダメですね、環境破壊になる。今、野焼きは条例で禁止されてますから。きちんと処分してください。

捨てる以外だと、我が家では「黒土コンポスト」をやっていて、そこに生ゴミを捨てて分解してるんですけど、そこにいるバクテリアが使い古しの油も食べてくれるんですよ。そうすると油を分解してくれて最終的には肥料になっちゃいます。そう考えると、油っていろんな利用方法がありますね。

でも、そもそも油風呂用に油を1回しか使わないのはもったいないから、何回か使ってほしいですね。その分、犠牲者は増えるかもしれないけど、環境破壊のほうがもっとダメですから! 残った油を炒めもので使ってもいい。とにかくすぐ捨てるのはダメです! ただ、富樫が入っていた油だと思うと、ちょっとイヤですけど......。

滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数

★マシンガンズ・滝沢秀一の『ベンキマンの捨て方』は毎週木曜日更新!