芸人コンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、日々「ゴミ清掃員」としても働く滝沢秀一が、ゴミの捨て方を指南する連載「ベンキマンの捨て方」。ただし、ここで扱うゴミたちは、架空のものばかり。あの漫画で出てきたあの道具や、映画で見たあんな機械など......。実在しない架空のゴミを、現実世界ではどう捨てればいいのか? 前代未聞の"ファンタジーゴミ連載"!

【捨てるもの最終回】特別編「ゴミが捨てられなくなる日」後編
「この連載で『最終処分場』という言葉を初めて聞きました。あと数十年でゴミが捨てられなくなる、という話でしたが、もっと詳しく聞きたいです」という質問の続きに、今週も答えます!

先週は、日本ではあと約22.4年でゴミが捨てられなくなる、という話をしました(東京23区では約50年)。

最終処分場がいっぱいになりゴミを捨てるところがなくなれば、日々のゴミ回収も止まってしまうかもしれません。その先果たしてどうなるのか、まだどんな学者もその答えを出せていません

考えられる可能性としては、産廃業者にゴミを有料で回収してもらう形になるのではないでしょうか。産廃業者たちは自分たちで土地を買い、その土地にゴミを捨てることになるでしょう。

今のゴミ処理は、みんなの税金でまかなわれていて、年間2兆円くらいかかっています。

日本のようにゴミ捨てを国が整備しているところは珍しく、アメリカだと電気代や水道代と同じようにゴミ代がかかります。アメリカ方式に切り替えれば日本も大丈夫じゃない?と思うかもしれませんが、日本とアメリカでは事情が違います。アメリカには広大な土地がありますから。日本は土地が狭いというのが一番の問題ですね。

もしゴミが有料になると、少しでも安い業者に頼みたくなりますよね? そうすると価格競争が始まり、中にはインチキみたいな会社も出てきて、不法投棄が起きたりするでしょう

「不法投棄」って言葉にすれば単純ですが、それはとても大変なことです。環境を壊すだけじゃなく土壌が汚染され、汚染された物質は水に溶け出し、結局は自分たちが食べるものに影響を与えると言われています。

青森県と岩手県の県境に「日本最大の不法投棄」と言われた場所がありました。ここでは税金を使って不法に投棄されたゴミを適切に処理しましたが、ゴミが無くなったからオッケーということではありません。汚染物質が漏れて土壌を汚染してしまえば、農業用水に混じってしまう可能性だってあったのです

日々ゴミを回収していて感じますが「ゴミは永遠に捨てられる」と思ってる人がいっぱいいます。ほとんどの人が、ゴミを捨てる場所には寿命があるという事実を知らないでしょう。

なので、まずは知ることから始めなきゃいけないと思うんですよね。現状を理解した上で、「じゃあどうしましょう?」と考えるしかないのかなと、僕は思います。

暗い話ばかりになりましたが、鹿児島県の大崎町という町の取り組みが、未来へのモデルケースになるといわれています。大崎町がとったやり方は「ゴミを燃やさない」という方法です。

焼却炉はメンテナンス費だけで年間何十億とかかります。なので大崎町では「焼却炉を作らない」ことにしました。じゃあどうするのかといったら、徹底的にゴミの分別をして、それを資源として売ることでお金に替えたんです。生ゴミも分別して堆肥にし、それも売るそうです。

大崎町のリサイクル率は83%、日本全体だと20%ぐらいなんだそうです。

ゴミを分別してお金に替える、そういう世の中になっていかないと、日本はこの先厳しいんじゃないでしょうか。大崎町では、ゴミを売って得たお金を教育費に回したりもしているようです

すべての自治体が「大崎町」になるべきだと思いますね。すべてのゴミを資源と考えれば、ゴミを燃やすということはお金を燃やすということと一緒です。

もちろん「お年寄り家庭はそこまで分別できない」などといった問題もあるでしょう。しかし、ゴミで得たお金を福祉に回すなど、前向きなやり方はいくらもあるんじゃないかと思うんです。

日本では、企業が在庫を抱えていると資産として計算され税金がかかってしまうため、大量にモノを捨てるケースがよくあります。持っているより、捨てる方が安いからです。

食べ物でもそうですが、買っては捨て、買っては捨てみたいなサイクルに陥っているような気がします。「親孝行、気づいたときに親は無し」という言葉がありますが、「気づいたときにゴミ捨て場は無し」とならないように、まずはゴミの話を知ることから始めましょう

連載『ベンキマンの捨て方』は今回で最終回となります。来週からはリニューアルした連載が始まりますので、お楽しみに!

滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数

※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。

★マシンガンズ・滝沢秀一の『ベンキマンの捨て方』は毎週木曜日更新!