ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!
あけましておめでとうございます。2023年の初回となる今回は、「年末年始のゴミ」についてお話したいと思います。
12月31日から1月3日は、ほとんどの地域でゴミの回収がありません。可燃ゴミを捨てられるタイミングがズレたら、1週間ゴミが出せない!みたいなところもあったようで、そういうマンションに行くと集積場のドアが閉まらず、外までゴミがあふれかえっていたところもありました。
なので毎年、この時期はゴミの回収に時間がかかります。しかし、年明けは「対策車」と呼ばれるゴミ回収の応援部隊も来てくれるので、まだ何とかなります。しかし、コロナでステイホームだった時期は対策車も何も出ず、とても大変な思いをしました。
年内に一気に片付けてスッキリしよう、と思った人は多いですよね? ふと気づくと「燃えるゴミ、明日までじゃねえか!」みたいなことで、慌てて家中のゴミを突っ込むんでしょう、可燃ゴミに交じってスプレー缶が出されていることがよくありました。使いかけのスプレー缶が可燃ゴミに入っていると、すごく怖いんですよ。爆発して発火することもしょっちゅうありますから。
心機一転で一気に捨てたら気分はいいでしょうが、分別されていないゴミを回収するほうからすると、たまったもんじゃありません。こちらで缶や瓶を一個一個分別することになってしまいます。
あと、メイク道具がまとめてガラガラッと捨てられていることも、年末年始のゴミの特徴です。「メイク道具の分別は?」とよく聞かれるんですけど、それぞれ処理の仕方が違います。だけど「メイク道具」というひとくくりで、一気に全部同じ袋で捨てられているケースがいくつもありました。
そうすると、可燃ゴミに香水やマニキュアの瓶なんかが入っていたりして、それでは本来は回収できません。一応、年末年始なのでなるべく持っていく方向で、こちらがその場で分別したりしますが、とてもしんどいですね。
コロナ前は、クリスマスにケーキをホールで買って食べきれずに捨ててる、みたいなことが結構ありました。きっと「インスタ映え」的な写真が撮りたかっただけなんだと思います。とてももったいないですよね。
ただ、最近はおせちが捨てられているのをあまり見なくなりました。10年ほど前は大量にゴミとして出ることがありましたが、もしかしたら、もうみんなおせちは食べてないんじゃないですかね?
お歳暮関連のゴミは、今でも大量に出ます。干物セットだとか高級ゼリーとか、開封もせずそのまま捨ててあったり。そんな光景を見るとこの風習に意味あるのかな?と思っちゃいますね。
そういえば先日、あるお歳暮業界の方と話す機会がありました。お歳暮も昔より頼む人が少なくなってきたそうです。そこで「お歳暮の未来」の話になり、「捨てられないお歳暮って何でしょうか?」という展開になりました。今、ものを持たないことに価値を見出す人たちも結構いますからね。
以前、ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが、松村邦洋さんから毎年お中元とお歳暮をもらっていたそうなんですが、毎回大きなハムが届くんだそうです。上島さんのところは夫婦2人だけですし、大きなハムが届いても食べきれないので「松村ごめんな。食べきれないものをもらっても申し訳ないから、お酒とかにしてくれたら助かる」っと言ったら、次の年からは日本酒が届くようになったと。
しかし、それからしばらくして、松村さんがマラソンの途中で倒れてしまったことがありましたが、なぜかそれ以降、また大きなハムに逆戻りしたそうです。
上島さんが僕に「俺、もう松村に言えなくてよ。お前から言ってくれないか」って(笑)。
そういった例もありますし、これからの新しいお歳暮やお中元として「スキューバやれる券」とか「マッサージ券」「宿泊券」とか、体験型の贈り物はどうでしょう? 10年ゴミの回収をやっていて、金券が捨ててあるのって見たことありませんからね。
来週も「年末年始のゴミ」の話の続きです。
滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。
マシンガンズ・滝沢秀一の『金持ちのゴミはなぜ少ないのか?』は毎週木曜日更新中!