ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!

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最近ゴミを回収していて気になっていることがあって、それは「お金持が住む地域」と「一般的な住宅地」では、使っているゴミ袋が違うということです。

東京23区は半透明であれば特に指定の袋はないのですが、お金持ちが住む地域で出されるゴミ袋は、オレンジのひもがついているものがよく使われています。オレンジのひもが持ち手になって、さらにゴミ袋の端を巾着のように絞ることができます。

この袋は、我々清掃員としてはすごく助かっています。

ゴミ清掃をやっていて嫌なことのひとつは、つかんだ瞬間に破れるゴミ袋があることです。ゴミがパンパンに詰め込まれていたり、紙などの重いものや液体が入っていたりして、破れて大騒ぎになるパターンがよくあります。

でもこのオレンジのひも付きゴミ袋は、回収車でつぶしたときでも袋が破れないような、粘りがある材質なので安心して回収できます。

とても気になったのでこの袋についてネットで検索してみました。完全に特定はできなかったのですが、似たようなゴミ袋があって1枚約33円もしました。めちゃくちゃ高いですよね? 安いところで探せば、1枚当たり3円もしないで買えます。

これ何がすごいかって、お金持ちって捨てるゴミにもお金をかけるんだなということです。

捨てるものだから安いに越したことはないし、極端に言えば何でもいいじゃないかって僕でも思います。しかし、そこにお金をかけたり心づかいができる余裕は、やっぱりすごいと思いますし、見習いたいと思いますね。

それにしてもこのゴミ袋、お金持ちの間で流行ってるんでしょうか? 近所のスーパーでは見たこともないですし、僕らの知らない何かがあるのかもしれません。知っている方がいたらぜひ教えてください。

東京ではほとんどの地域で土は捨てられませんので、買うときは気を付けましょう東京ではほとんどの地域で土は捨てられませんので、買うときは気を付けましょう

それとはまた別に、「日本一高い有料ゴミ袋」というものがあります。それがあるのは北海道えりも町というところで、45リットル袋が1枚200円します。これは町が指定する有料袋なので、ゴミを捨てるときにはこの袋に入れなければ回収してもらえません。

東京都でも調布市や武蔵野市がゴミ袋の有料化をしていますが、1枚当たり約80円程度で、えりも町がかなり高額なことがわかると思います。

えりも町は高齢者が多いので直接家まで回収に向かったり、町が広くて回収に時間がかかったりと様々な事情からこの値段で有料袋の導入に踏み切ったようですが、約20年前に袋が有料化されてから、ゴミの量は半分以下に減ったようです。

こうなると「スペース=お金」だと実感できますよね。ゴミを捨てれば捨てるほどお金がかかってしまうわけですから、ゴミになるものは買わない、極力ゴミを出さないなど、なにかと工夫をするようになるんでしょう。ゴミの量が多い地域は、今後次々と有料袋になっていくでしょうね。

僕がゴミの回収をしている東京23区以外では、有料ゴミ袋が導入されている地域は多いです。ゴミを減らすのであれば、有料袋の導入はとても有効だと思います。ゴミ回収は決してタダではなく、お金がかかりますよということが明確になれば、みんなの意識が変わるんじゃないでしょうか。

日本全体でも税金で無駄なものを作ったりと、不要なものがいろいろと多いですよね。だから国が貧乏なんじゃないでしょうか? 日本もお金持ちの真似をしてゴミを減らして、お金持ちになってほしいものです。

滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数

※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。

マシンガンズ・滝沢秀一の『金持ちのゴミはなぜ少ないのか?』は毎週木曜日更新中!