ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!
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引き続きゴミの捨て方についてです。今回はちょっとわかりづらい「ペットボトル」と「プラスチック容器」の分別についてお話します。
プラスチック容器に関して、昨年「プラスチック資源循環促進法」が施行され、リサイクルへのさらなる意識の高まりと取り組みが進んでいます。これによりレジ袋が有料化されたため、ご存じの方も多いと思います。
ペットボトルも広い意味でいえばプラスチックに分類されますが、ペットボトルはリサイクルしやすい素材であるため、個別にまとめて回収されています。
「ペット」と「プラ」は見た目だけでは分別が難しいかもしれませんが、そういうときは表示を確認しましょう。ペットボトルには「PET」、プラスチックには「プラ」と表記されています。
例えば、シャンプーの容器やドレッシングの容器の見た目がペットボトルに似ていたとしても「プラ」と表示があれば、プラスチックとしてお住まいの自治体のルールに合わせて出すことになります。
■リサイクル不可のペットボトル
ペットボトルを資源で出すときに注意が必要なのは、色付きペットボトルです。例えば、海外の飲料メーカーのペットボトルには緑色のものがあったりしますが、これはリサイクルできませんので気を付けてください。23区では「可燃ゴミ」になります。
現状、色付きペットボトルはリサイクルNGというルールがあり、日本で生産しているペットボトルに色付きはほぼありません。各企業がルールを守って透明にし、リサイクルしやすいようにしています。
■同じペットボトルでも出し方が違う
ちょっと複雑な話になりますが、「ノンオイル」と「オイル入り」、2種類のドレッシングがどちらも同じペットボトル容器に入っていたとします。このふたつでは、回収の方法が違うのです。
「ノンオイル」のほうはペットボトルとしてリサイクル可能ですが、「オイル入り」は容器に油がしみ込んでしまい再生できないので、「可燃ゴミ」か「プラ」で出す必要があります。
「いちいち面倒!」とお思いの方もいるでしょうが、ノンオイルの容器には「PET」、オイル入りには「プラ」と表示してありますので、それに従えば問題はありません。ただ、どちらの容器も元はまったく同じペット素材でできている、というわけです。両方とも簡単にゆすいで、それぞれ指定の日に出してください。
■プラ資源のリサイクル方法
もう少し話を深めますので、ついてきてください。ここで一つ疑問なのが、油を含んだペットボトルは「PET」としてリサイクルNGなのに、なぜ「プラ」ならリサイクルOKなのでしょうか?
その答えは「プラ」のリサイクルの行き先にあります。プラには2種類のリサイクル法があり、「マテリアルリサイクル」と「サーマルリカバリー」と言います。
「マテリアルリサイクル」というのは、プラスチックが再びプラスチックの商品に生まれ変わるものです。多くはフォークリフトなどで運ぶ樹脂パレットになったりします。
一方で「サーマルリカバリー」というのは、簡単に言うとプラスチックを「燃料」として再利用するものです。「熱回収」といって、集めたプラを固形燃料等に変えたりして燃料として使います。プラスチックの原料は石油ですから、燃やしたときの発熱量が高いのでそれを利用しようということです。
先ほどの疑問に戻ると、油がしみ込んだペットボトルは品質的にペットボトルとしてリサイクルは出来ませんが、「マテリアルリサイクル」もしくは「サーマルリカバリー」であれば、油が染み込んでも問題がないということなんですね。
油が染み込んだプラがフォークリフトのパレットや固形燃料に変わっても問題ありません。ただ、油でギッドギドのものは衛生上管理できないのでダメですよ。
どちらにせよ、この場合は表示を見て分別すれば問題はありません。
話を聞いて面倒くさいと思われる方もいるかもしれませんが、理由や理屈が分かれば、少しだけ楽しくリサイクルができるかもしれないので、自分の出したものがのちにどうなるか知ると分別しやすくなると思います。
滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。