ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!
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僕は10年前にゴミ清掃員になったとき、まずシュレッダーを買いました。どうしてかというと、女性の名前が記載された携帯電話の請求書が、半透明のゴミ袋の中にベターっと貼り付いているのを見たからです。
そこには住所や携帯番号までバッチリ記載されていて、これをストーカー的な人が見たらどうなるんだろう?と思って怖くなりました。それをきっかけに僕はホラー小説『かごめかごめ』を書いたぐらいです。
他にも「残高4,000万円」と記載のある銀行の明細が捨てられているのも見ました。僕でも思わず「この家には4,000万円あるんだ!」と思いましたから、もし悪者的な人が見たらヤバいかもしれませんよね。
お金持ちの住む地域って、ほとんどの場合で家のすぐ前がゴミの集積場になっているので、どこの家のゴミなのか分っちゃいますから、より注意が必要です。
■個人情報の危険性
「人に知られて困る情報じゃないから」と思って捨てる人もいると思いますが、名前の記載がある時点で誰のゴミなのか分かってしまう、それだけで危険につながる可能性は大いにあります。
コンビニのレシートをまとめて捨てるのは危険と言われています。レシートには購入時刻やコンビニの所在地なんかが記載されていますから、「この人は毎日この時間にコンビニに寄ってるぞ」とか、「このあたりの会社に通ってるのかな」と、いろいろと推測ができます。生活サイクルが分かるものは、泥棒からしたら立派なお宝情報です。
そこに自分の名前や住所が分かるものが一緒に入っていたらと思うと、恐ろしくありませんか? 自分はゴミだと思っていても、誰がそれを「お宝」と判断するか分かりません。
■ゴミは意外と開けられている?
僕も芸人として顔と名前を出しているので、個人情報を捨てるときには気を付けています。そんな中で最近捨てるのに困ったのが、子どもの上履きです。しっかり「たきざわ」とマジックで書いてあったのですが、シュレッダーにはかけられません。なので名前の部分だけを切り取り、さらにそれを生ゴミに混ぜて捨てるようにしました。
「うちのゴミは開けられないよ」と思う方は多いと思いますが、意外とそうではありません。
不燃ゴミは「レアメタル入りの電子機器」が入っているかも?ということで、実際によく盗まれているんです。その中に個人情報が分かるものがもし入っていたら、いきなり犯罪にはつながらないとしても気分はよくないですよね? やはり、見る人によってはゴミではなくお宝が入っているんです。
■ゴミは個人情報の塊
ちょっと話はズレるかもしれませんが、よく一般的な住宅のゴミから、コンビニでお金を下ろした明細が出てきます。細かく3,000円だけを何回も下ろしていたりして「手数料がかかってもったいない!」と思ってしまいます。手数料がかからないようにある程度まとめて下ろして、計画的に使えばいいのにと。
ゴミを探っているわけでもない僕がパッと目に入ってしまうだけで、そういうことまで読み解けてしまいます。
使用済みの薬の袋がそのまま捨てられていることもあります。「薬に詳しければ、この人の持病が分かるな?」と思うので、もし僕が悪者だったら、怪しいスピリチュアル系の勧誘に使える!と考えるかもしれません。「あなた、もしかして内臓が悪くありませんか? 私には見えます......」とか。
悪用しようと思ったら、個人情報はいくらでも使い道があります。一人暮らしを始めたばかりの若い女性をはじめ、とにかくみんな気をつけましょう。
以前にテレビドラマで見たんですが、刑事がゴミ清掃員のフリをして犯人の家から出たゴミ袋を持って行くシーンがありました。やっぱりゴミから得られる情報は多いんですよ。ゴミは個人情報の塊です。
なので今悪いことをしている人も、捨てるゴミには気をつけたほうがいいですよ。「捨てちゃえば分かんねえだろ」というほど、上手くはいかないようですから。
滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。