ライター兼ウーバーイーツ配達員の渡辺雅史ライター兼ウーバーイーツ配達員の渡辺雅史

新連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第1回

皆さま、はじめまして。ライターをやっております渡辺雅史と申します。

フリーライター業と並行して、2018年からウーバーイーツの配達員としても活動をしています。

今回は連載のはじまりということで、なぜ無名な私が連載を持つことになったのか。その経緯をお話ししたいと思います。

まずは簡単な自己紹介から。

現在48歳。雑誌やネットの記事でライターとして働くほか、ラジオやテレビ番組の構成作家のお仕事もやっております。
身長は180cm、体重は93kg。内科の糖尿外来に通っており、病院の先生からは常に「しっかり運動してくださいね」と言われております。

こんな私がウーバーイーツの自転車配達員になった経緯を。

2017年の秋、スタッフとして関わっているラジオ番組でフードデリバリーの特集を放送しました。「これまでテイクアウトは行なっていたものの、デリバリーには対応していなかった店がウーバーイーツや出前館の登場でデリバリーを始めている。わざわざお店に行かなければ味わえなかった料理がスマホで簡単に注文できて、家まで届けてくれる」ということを紹介する企画でしたが、私が一番興味を持ったのが、ウーバーイーツ配達員の「働く時間が自由に選べる」というシステムでした。

その時の私は体重が110kgもあり、そろそろ運動しないと医者から怒られると思っていた時期。スポーツジムに入ろうかと検討していたのですが、ウーバーイーツの自転車配達員なら、スポーツジム同様、好きな時間に自転車を漕ぐことができて、好きなタイミングでやめることができる。しかもスポーツジムはお金を払うのに対し、ウーバーイーツの配達員はお金がもらえます。

こういったシステムに惹かれ、2017年12月、スマートフォンにアプリをダウンロード。必要事項を登録後、渋谷区恵比寿にあった登録センターへ出かけ、配達の基本マニュアル的な映像を見た後、リュックを渡され配達員登録完了。さらに東京都内で展開しているレンタル自転車「ドコモバイクシェア」に登録して、「ウーバーイーツ配達員用プラン」を申し込み。2018年の正月から配達を始めました。

ウーバーイーツ配達員の紹介画面ウーバーイーツ配達員の紹介画面

ドコモバイクシェアは都内の公園、ビル内の公開空き地にある専用の自転車置き場に置かれている赤い電動アシスト自転車を利用できるサービス。好きな自転車置き場から借りることができて、好きな場所に返すことができるサービス。配達が続いた結果、自宅から遠くへ流されてしまっても、専用の置き場に返却して電車で帰ればいいし、専用プランは長時間自転車を借りる配達員にピッタリでした。

電動アシスト自転車を利用できるサービス「ドコモバイクシェア」電動アシスト自転車を利用できるサービス「ドコモバイクシェア」

当時、ウーバーイーツは現在のように全国に広がっておらず、配達エリアも東京都の新宿区や渋谷区、港区を中心としたごく一部のエリア。当然配達員は少なく、4、5時間配達しても、路上であのリュックを背負った配達員を見かけることがほとんどありませんでした。また国内での認知度も低く、配達先の多くが海外でウーバーイーツを利用したことがあると思われる外国の方ばかりでした。

そんな話を付き合いのある『週刊プレイボーイ』の編集者に話していたところ、配達体験を記事にしてみないかという話になり、2018年の春に体験談が紙面になりました。その後もコロナ禍での配達員事情などの記事を書きました。

また、配達員が集まって労働組合が結成されるという話題をこれまた『週刊プレイボーイ』の編集者から聞いて、いたずらに参加した結果、組合のトップ(執行委員長)となり、記者会見を開いた様子が新聞の一面に掲載される。配達先で酷い目にあったので自力で裁判を起こしたものの証拠がなくて棄却される。という具合に、配達員となってから、ライターの仕事では経験できないようなことをたくさん経験してきました。

この連載は、そんな一介のライターだった私が、ウーバーイーツ配達員になってから体験したことを書きつづっていくというもの。

街中でデカいリュックを背負って配達している人たちの知られざる生態。注文した料理が早く届くようになるちょっとした工夫。デリバリーで頼むとリスクのある料理。弁護士がいなくてもできる裁判の起こし方。目の前に記者の人が大勢いる前で落ち着いて話をする方法。などなど、配達中、配達外で起きた出来事を紹介していこうと思います。

いろいろ書いてきましたが、配達のシステムは刻一刻と変化しており、配達員には日々新たな難題が襲いかかっているので、常にアップデートされた情報を生々しくお伝えできると思います。

好きな時間に働き始めることができて、好きなタイミングで仕事を終えることができる自由度の高さから、副業の候補として考えている方にも参考になるような情報もお届けしていきいきますので、ぜひ、お付き合いいただけたらと思います。

●渡辺雅史(わたなべ・まさし) 
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。

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