ライター兼ウーバーイーツ配達員の渡辺雅史ライター兼ウーバーイーツ配達員の渡辺雅史

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第2回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

* * *

今回はウーバーイーツ配達員の収入事情のお話をします。

配達を始めた2018年1月は、お店で料理を受け取る際に発生する「ピック料」、配達した距離に応じて支払われる「配達料」、そして雨の日など注文が集中することが予想される時間帯に、一定の回数を運ぶともらえるボーナス「クエスト料」の合計金額が配達員の収入となっていました。

個人的に報酬のシステムは一番重要なことだと思うのですが、実は細かい内訳や料金の算出方法は非公開のためわかりません。「基本料」や「クエスト料」という名称も情報が非公開のため、こちらが便宜上勝手につけた名前です。

その後、何度も制度が変更され、現在は「ベース」「配達調整金」「ブースト」「クエスト料」で計算されています。

ブーストというのは、特定の期間内に指定のエリアで配達した際にもらえるボーナスで、例えば新宿エリアで「1.5倍のブースト」となっていた場合、ベース料金が1.5倍になるというものです。

特定の期間内に指定のエリアで配達した際にもらえるボーナス「ブースト」の画面特定の期間内に指定のエリアで配達した際にもらえるボーナス「ブースト」の画面

クエスト料は、雨予報が出ている時などに発生する「突発的なクエスト」と、過去の配達実績に合わせて設定され、1週間で規定の回数を運ぶともらえる「定期的なクエスト」の2種類があります。定期的なクエストは、過去の配達実績がないと15回で1500円といったような、配達回数・ボーナスともに安いもの。ですが、配達すればするほど達成回数・ボーナス額が増え、私の場合、140回で2万5000円というボーナスが設定されたこともあります。
 
ベースと配達調整金はどんなものかというと、正直よくわかりません。ウーバーイーツの運営側によると、規定の算出方法で決められているとのことですが、東京都中央区を中心に自転車で配達をしている私の経験上、ブーストのない時間帯でも1.6倍の時間帯でも、2km先の配達先でも500m先の配達先でも、1回にもらえる金額は300円。配達後に確認できる明細をアプリで確認すると、ブーストの倍率が高い時間帯は配達調整金が下がるという感じです。

そんな300円の配達をコツコツこなしていると、たまに1200円の配達が舞い込んでくることもあるのですが、1200円の配達と300円の配達にどんな差があるのかと聞かれても、これまたよくわかりません。

こんな感じで、配達員の報酬がどういう基準で算出されているのかわからない方法で計算されているため、配達で得られるお金が何の前触れもなく下げられるというのはよくあることで、最近も1回あたりの運ぶ料金が30円下がりました。

ただ、これまでの配達経験から感じる配達員の報酬とは、働いた内容ではなく需要と供給のバランスで計算されたものだということ。

注文の少ない時間帯なら、2リットルのペットボトル10本を5km離れた先へ運んでも300円。お昼や夕方といった注文の多い時間帯なら、ビルの1階にテナントとして入っているスターバックスから同じビルに入るオフィスまで届けて800円。

もちろん、自由な時間に働けるし、回ってきた配達を受けるかどうかも自由ですが、配達員の依頼拒否率が見られるブラウザなんていうものも存在するので、配達料によって仕事を選ぶことはなかなかできない状況です。

では実際、1日でどのくらい稼げるのか。

季節や天候、稼働する配達員の数にもよりますが、私の場合は朝から晩まで配達員用のアプリを受付状態にして、配達回数30回弱、収入は1万円ほど。クエストボーナス込みで1週間5万円もらえれば御の字といったところです。実際はライターの仕事もありますし、命に関わる事故のリスクを避けるため、雨の降る日や気温が35度を超える日などは配達に出ていないので、週に1~2万円もらえれば、という感じで配達しています。

とある1週間の収入画面。配達料の支払いは週払い制だとある1週間の収入画面。配達料の支払いは週払い制だ

ちなみに、配達料の支払いは週払い制で、月曜日の午前4時から翌週の月曜日の4時まで働いた分が毎週銀行口座に振り込まれます。私の場合、振り込まれるのは火曜日のお昼ごろ。具体的に言えば、土日に稼いだ分が次の火曜の昼に入るという感じです。なので週末に競馬で遊んでいるとき、「火曜日にお金が入るからいいか」という思いが頭をよぎって熱い勝負をしてしまうので、個人的には月払いにしていただきたいのですが......(苦笑)。

それはさておき、急にお金が必要になる人も多いでしょうから、働いた分がすぐに入ってくる週払いはいいシステムだと思います。現に、配達仲間からは「収入が一方的に切り下げられるのはきついが、働いた分がすぐに支払われるので、やめるにやめられない」という声が聞こえてきます。

●渡辺雅史(わたなべ・まさし) 
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。

★『チャリンコ爆走配達日誌』は毎週木曜日更新!★