ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!

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先日、「広告型ゴミステーション」のニュースを目にしました。

どういうものかというと、アルミフレームにネットがかかった状態の衛生的なゴミステーションが、費用負担なく設置できるという新たな試みだそうです。なぜ費用負担なくそんなことができるのかというと、ゴミステーションに企業広告が入っているからだと。

導入する側の自治会としては、カラスや猫対策がなされたネット付きゴミステーションを無料で導入できるわけですから、当然うれしい。広告企業としては、地域の方々に自分の会社をPRできるわけですから、こちらもうれしい。まさにみんなが幸せになる見事な仕組みです。

僕は日本各地のゴミパンフレットを集めているんですが、自治体によってはパンフレットに広告を載せています。財政に余裕がある自治体のパンフレットには、あまり広告が載っていない印象です。

個人的には、ゴミ業界も広告の仕組みをもっと取り入れたほうがいいと思っています。なぜかというと、ゴミの処理にはとにかくお金がかかるからです。特に燃えるゴミ。

燃えるゴミは、ものを燃やして灰にするしかないので、何かをリサイクルしてお金を作る、みたいな仕組みの構築が難しいです。さらに焼却炉の維持費と燃料費は高額で、自治体によっては年間6億円ぐらいかかるところもあるそうです。

さらに今、世界的に燃料費が高騰していますよね。焼却炉に使われるコークスも同じで、ものすごくお金がかかって大変だそうです。それについてはまた、別の機会に詳しく話したいと思います。

なので、ゴミ業界でも広告でお金が入ってくる仕組みは必要だろうと。

たとえば、ゴミ清掃車にラッピング広告をつけるとか。もっと言うと、電光掲示板みたいなものをつけて「ゴミ清掃員が選んだランチ特集」みたいなものを流すとか。清掃員は地元の美味しいランチに詳しい人が多いんですよ。みんなが気になる情報が発信出来たらゴミ清掃車にも注目が集まるでしょうし、そうすれば広告もさらに入りそう。

清掃車は同じエリア内をグルグル回ることが多いので、宣伝効果もあると思うんです。

ゴミ集積場でネズミを目撃しました。こんなものまでかじるんですね ゴミ集積場でネズミを目撃しました。こんなものまでかじるんですね

「ゴミを燃やすのはお金を燃やしているようなもの」と表現する人もいます。なのでお金はいくらあってもいいと思います。しかもゴミ清掃は地域密着型なので、地元企業にとっても効果的な広告が出せるいい機会になるんじゃないかなと。

もちろん、自治体の税金で運用されているからなど、一般企業の広告を入れづらい理由があるのはわかっているんですが、でもしつこいようですがゴミ処理ってお金がかかるんです。

今回、話題になった「広告型ゴミステーション」は、ゴミ箱に蓋がついていて汚れづらかったり、非常に衛生的で効率的なゴミ捨て場が作れます。不思議ときれいなゴミ集積場ほど汚れづらく、汚い集積場はどんどん汚くなるものです。メンテナンスもゴミステーションを提案している会社が行うということで、清潔が保たれそうな仕組みもいいですよね。

どんな世界でもそうですが、「金がない」と嘆くだけじゃなくて、やっぱりアイデアは必要ですね。人気清掃員がいるなら、軍手に広告入れてもいいですよね。ヘルメットもいいし、あと背中とか。そうなったら企業の広告塔としての責任感も出て、もっと街を綺麗にできるかもしれませんよね。

完全に発想が野球ですけどね(笑)。


滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式Twitter【@takizawa0914】

※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。

マシンガンズ・滝沢秀一の『金持ちのゴミはなぜ少ないのか?』は毎週木曜日更新中!