ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!
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徳島県上勝町に、宿泊しながらゴミの分別が学べる「HOTEL WHY」という施設があります。この町ではなんとゴミを45種類に分別していて、それによりビジネス的にも成功した珍しい町です。
上勝町にはゴミ焼却炉が作れないという悩みがあり、更に住人たちの高齢化で税収の見通しも厳しい状況でした。そこで「ゴミをとにかく分別しよう」という結論にたどり着き、さらにはただ分別するだけじゃなく、ホテルを作って分別をショーとして見せることで「みんな私たちの町へ来てください!」という、前代未聞のビジネスが始まった、というわけです。
鹿児島県の大崎町も、ゴミを27品目に分別することによってゴミが資源へと変わり、それらを売ることで教育費を作り出すシステムを作りました。ただ燃やして埋めていたものを分別してきれいにすれば、ちゃんと買い取ってくれるところがあるわけです。
ゴミを燃やすための燃料代なんて、一番もったいないお金だと思います。その費用を他に回すことができれば、自治体の運営もぐっと楽になるはず。
中国の上海では2019年からゴミの分別が始まりました。それまではゴミを分別する習慣がなく、広大な国土にそのまま埋め立てたり、何でもかんでも燃やしていたようですが、近年の人口増加を考えると、このままではまずいだろうということで分別が始まりました。
中国に限らず、ゴミ問題は世界的に注目のキーワードであり、ちゃんと統制が取れている日本の分別システムが海外から注目を集めているのです。
■「燃やせるゴミ」と「燃やすしかないゴミ」
今年5月に徳島市で「燃やせるごみ」という名称を「分別頑張ったんやけど、燃やすしかないごみ」に変えたというニュースがありました。
ゴミの名称を変更するという取り組みは、最初は福岡県の柳川市だったと思いますが、それからいくつかの自治体が同様の変更をしています。
全国的に「燃やすしかないゴミ」という呼び名は増えているようで、この呼び名だと「分別してリサイクルしようとしたけどどうにもならず、これだけは燃やすしかない」という意味が伝わりますよね。「燃えるゴミ」とか「燃やせるゴミ」だと、「燃えれば何でも捨てていい」という意味に取れてしまいます。
ネーミングだけでも住人たちの意識はかなり変わるようで、名称を変更してゴミが減ったと、とある自治体の方がおっしゃっていました。
■廃油でゴミ回収車を走らせたい
岡山県では、家庭などから集めた天ぷら油を再利用して、通常運行の路線バスを走らせています。天ぷら屋さんとも契約して廃油をリサイクルしているそうです。多くのゴミ回収車はディーゼルを使っていますが、廃油を使うこの仕組みで動かせたらいいのにと思っています。
家庭から出る油は、ほとんどが捨てられているそうです。そこを何とかしたいんですが、家庭の油を集める仕組みができていない。でも最近は「廃油をペットボトルに入れて持ってきてください」という仕組みを作った自治体もいくつかあるようです。
やりたいけど仕組みがなかったりとか、やる人がいないから捨てるしかない。そんなことでまたひとつゴミが増えていくわけです。でも、みんなが協力してちゃんと分別することができれば、ほとんどのものは再生できます。世界に誇れる「ゴミの出ない国」を目指して頑張っていきたいですね。
滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式Twitter【@takizawa0914】
※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。