Lサイズのピザはリュックについている拡張機能を使って運びますLサイズのピザはリュックについている拡張機能を使って運びます

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第6回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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ウーバーイーツ配達員が使っている巨大なリュック。配達エリアにお住まいの方は見かけたことがある人も多いでしょう。ですが、その中はどうなっているのか、配達中はどんな感じに商品を詰めて運んでいるのか。今回はそんなリュックの中身を公開します。

現在、私が使っているのはこちら。

ウーバーイーツ配達員が背負って運ぶ「でかいリュック」ウーバーイーツ配達員が背負って運ぶ「でかいリュック」

昨年末、5年間使っていたものが破損してしまったのでAmazonで購入しました。

届けられた時はこんな状態。

リュックと付属の仕切り板リュックと付属の仕切り板

中には銀色の板2枚と黒い板3枚が入っていて、黒い板を上部(蓋の部分)とサイドに入れ込み、銀色の板をリュックの底に入れると完成です。

 組み立てたリュックの内部 組み立てたリュックの内部

残った銀色の板1枚は、リュック内部を2段にするための仕切り板として使うのですが、マジックテープで固定する方式となっており、万が一テープの強度が落ちて剥がれてしまったら大変なことになるので、私は使っていません(十分な強度があるので、普通に配達していたら剥がれることはまずありませんが)。

そして、配達するときに持っていくのは、折り目が入った無地の段ボールの板とバスタオルにフェイスタオル、モバイルバッテリー(10000mAhのものを2個)、iPhoneのケーブルをレジ袋に入れたもの。

無地の段ボールの板とタオル、モバイルバッテリー、iPhoneのケーブルを収納無地の段ボールの板とタオル、モバイルバッテリー、iPhoneのケーブルを収納

中身がカラの時は、上の写真のような感じになります。

試しにマクドナルドのドリンクのセットを入れるとこんな感じです。

マクドナルドのドリンクのセットは段ボールやタオル入りの袋などを使い、なるべく動かないよう固定して収容マクドナルドのドリンクのセットは段ボールやタオル入りの袋などを使い、なるべく動かないよう固定して収容

段ボールをうまく使ってドリンクの入っている紙袋に壁を作り、タオルの入ったレジ袋とハンバーガーの入った紙袋で段ボールを押さえつけ、なるべく動かないようにしています。ダンボールは断熱性があるので、アイスなどのキンキンに冷えたものと、ピザなどの熱々のものみたいな組み合わせでない限り、食べ物が変に冷えてしまったり、ぬるくなってしまうことはありません。

ちなみにLサイズのピザはリュックにそのまま入れることはできません。縦にすれば入りますが、そんなことをして届けたら大変なことになります。そこで使うのが、リュックについている拡張機能。

リュックの下半分部分のチャックをオープンし、マチ(奥行)を拡張リュックの下半分部分のチャックをオープンし、マチ(奥行)を拡張

下半分部分のチャックをオープンすると、マチ(奥行)が広がるようになっていて、大きなサイズのピザも問題なく運ぶことができます。

他の配達員の方と比べて緩衝材が少なく、仕切り板が簡素なスタイルにたどり着くまでに、1年ほどの試行錯誤がありました。

最初の頃はエアークッション、いわゆるプチプチを入れていました。ですがプチプチは凸凹の間に隙間が多いせいなのか、食べ物のにおいが残ってしまいます(あくまで私の経験上の話なので、運び方によってはそうならない可能性もあります)。現在のバスタオルやフェイスタオルを入れている袋の代わりに、煎餅が入っていた大きめの缶を入れていた時期もありましたが、缶のガランガランという音を聞くたび「何かこぼしてしまったのではないか」と不安に感じてしまうため、1日でやめました。

他にも、スーパーマーケットでもらったカップラーメンの段ボール箱を仕切り板として使って、有名店のラーメンを配達したところ、商品を渡す際に「テンション下がるわ~」と小声で言われて配達後にBAD評価をつけられたり、古新聞を丸めたものを大量に詰めて汁物の容器が倒れないようにしていたら、渡す際にリュックを見て「汚っ!」と言われたり......。

心が折れてしまいそうなことがいろいろあったので現在の形に落ち着きましたが、空腹というストレスがMAXになっている相手と配達員が1対1で対峙する現場。「じゃあ、どうすりゃいいんだよ!」と叫びたくなるようなクレームにも対処しなければならないので大変です。

●渡辺雅史(わたなべ・まさし) 
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。

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