ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!

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連日猛暑日が続いています。こう暑いと外にいるだけでも倒れてしまいそうになるので、ゴミ回収をするときは必ず空調服を着て作業をしています。服に小さな扇風機が付いているアレですね。特に今年の夏は空調服がないと仕事ができないほどの殺人的な暑さです。

みなさんは携帯扇風機を使っている方が多いんじゃないでしょうか。街中で使っている人をよく見かけますよね。手持ちだったり首にかけられたりと、いろんなタイプのものがあるようです。この携帯扇風機と空調服、どちらにも共通するのは、充電式のリチウムイオン電池が使われているということです。

リチウムイオン電池は画期的な発明です。先日テレビの音声さんと話をしたんですが、ピンマイクには乾電池を使っているそうで、約3時間で電池がなくなってしまんうだと。なのでカメラを止めるたびに電池を替えていて、乾電池がゴミとしてメチャメチャ出てしまうそうです。それが充電式のリチウムイオン電池に変わったとしたら、ゴミも出なくなってとても便利になるのに、と言っていました。

■気をつけないと発火する!?

便利な反面、気をつけなければいけないこともあります。リチウムイオン電池は、高温になったり衝撃や圧力などの強い力がかかると発火する危険性があるんです。飛行機に乗るとき、預ける荷物にリチウムイオン電池を入れられないのはそのためです。

先日、僕が某番組に出たときに「リチウムイオン電池の発火による被害は2018年から2021年までの4年間で約111億円」と報告されていました。清掃車やゴミ処理場で発火したという事件はよく起こっているんです。

また、携帯扇風機を地面に落とした衝撃で発火してしまったという事例も報告されているようです。リチウムイオン電池は衝撃を受けるとガスが発生して膨張することがあります。お手持ちのモバイルバッテリーなどが膨張していたらものすごく危険ですので、確認してみるといいかもしれません。

一番やってはいけないと言われているのが、過充電です。夜寝ているときに充電しっぱなしという方、多いんじゃないでしょうか? 負荷をかけすぎると劣化したり、それこそ発火の危険が高まります、注意しましょう。

アメリカのモバイルバッテリー。処分したいときは袋に入れてメーカーに送り返すシステムです アメリカのモバイルバッテリー。処分したいときは袋に入れてメーカーに送り返すシステムです

■捨てるに捨てられない

このリチウムイオン電池、難しいのは処分の仕方がルール化されていないというところです。基本は販売店かメーカーに回収してもらうか、自治体でも回収をしているところもあります。また、ゴミ集積場でリチウムイオン電池が入っているとわかるように捨ててあれば回収はしますが、それが正しいやり方かどうか、僕たちもわかっていないんです。

しかし、リチウムイオン電池が膨張していると業者や自治体で回収してくれない場合もあります。そうなってくると、通常のゴミの中に隠して捨てる人が出てくる、これが危険なんです。

普通のゴミと一緒に回収してしまうと清掃車の中で圧迫され、時間が経ってから発火します。いつどこで発火するのかわからず、損害を受けた清掃車や処理場の修繕には税金が使われることになってしまいます。

本当は制作・販売した側が責任を持って回収しないといけないと思っています。アメリカでは、リチウムイオン電池を使用しているモバイルバッテリーを買うと袋が入ってて「使い終わったら袋に入れて送り返してくれ」というシステムになっています。

これはとてもいいシステムだと思いますので、日本も見習わないといけないですよね。

滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式X(旧Twitter)【@takizawa0914】

※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。

マシンガンズ・滝沢秀一の『金持ちのゴミはなぜ少ないのか?』は毎週木曜日更新中!