この春から注文が増えたのがリンゴ飴。配達員用アプリに「今、注文が多く届いている料理店」としてリンゴ飴専門店がよく表示されるこの春から注文が増えたのがリンゴ飴。配達員用アプリに「今、注文が多く届いている料理店」としてリンゴ飴専門店がよく表示される

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第11回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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ウーバーイーツ配達員を始めたばかりの2018年に注文が多かった商品。それがタピオカドリンク。

当初は大手チェーンへ受け取りに行くことが多かったですが、2019年に入ると路地裏にある個人店に行くことが増え、なんだかんだで2021年ごろまでは注文が多かったです。今でもたまに配達しますが、チェーン店ばかりで個人店へドリンクを受け取りに行くことはほぼなくなりました。

今回はそんな、配達をしていてブームを感じた食べ物の話です。

2019年に注文がグッと増えたのがバナナドリンク。冷凍したバナナとミルクをミキサーに入れて作ったドリンクは、シェイクのようなトロッとしたもの。スーパーやコンビニに並ぶバナナミルクとは別物といえるドリンクは、一杯で小腹も満たせることから、午後2時から4時のおやつの時間帯に注文が多かったのを覚えています。ただ「できたてを提供したいので作ってから20分以内に配達を」と指示する店もあったので、配達先が店から3kmほど離れていると結構ドキドキしました。

2019年に注文が増えたのがバナナドリンク。専門店が続々できた2019年に注文が増えたのがバナナドリンク。専門店が続々できた
同じ時期に注文の多かったのがメロンパン。私がよく行くエリアのひとつに月島があり、そこにメロンパンの店が多いこともあるのかもしれませんが、メロンパン1個をウーバーイーツで注文するタワマンの住人がかなりいて、世の中にはお金を持ってる人がたくさんいるんだなと感じたものです。

また、この年のランチやディナータイムでたくさん運んだのは、その道のプロが監修した、筋力アップや健康を意識した弁当。

「〇〇アスリート食堂」「××筋肉食堂」などと銘打った店が提供する高タンパク低脂肪の料理や、雑穀米を使った栄養バランスの良いお弁当は、店から遠い場所に住む方からの注文が多かったことに加え、当時は運んだ距離で配達料が決まっていたため、いい感じで稼がせていただきました。

こういった筋肉や健康を売りにしたメニューのある店の多くは、店での飲食だけではなく、店で直接弁当を受け取ることもできるのですが、店内にいるのは意識の高そうなスタイルの良い方や、筋肉ムキムキな方ばかり。一方、配達先でお弁当を手渡すのはお腹の出た方がほとんど。恥ずかしくて店に行けないという理由がウーバーイーツの需要を生み出しているのでしょう。コロナで在宅ワークが増えた時も、健康系の弁当を販売する店からの依頼はグッと増えました。

2022年の春頃から注文が増えたのはベーカリーのパン。港区、新宿区あたりの行列ができるおしゃれな感じのカフェのパンをひたすら運びました。ただ秋頃には配達数が減少しました。詳しい原因はわかりませんが、ウーバーイーツは一緒に別の店の商品も運ぶこともあるため、香りの良いパンと一緒にカレーを運ぶこともしばしば。そのため、ベーカリー店側がデリバリーのサービスを停止したのかもしれません。

ブームから定番商品へなりつつあるのが酸辣湯。2020年から注文数が増え、都内の専門店の場所をいくつか覚えてしまうほど商品を受け取りに行きました。その後、注文数が減ってブームが終わったという感じでしたが、最近は涼しい季節になると安定して注文が増える商品に。夏場に配達することは少ないですが、秋に入ったら配達する機会が増えると思います。


2020年から注文数が増え、ブームから定番商品へなりつつある酸辣湯・麻辣湯の店2020年から注文数が増え、ブームから定番商品へなりつつある酸辣湯・麻辣湯の店

そして、この春から注文が増えたのはリンゴ飴。私がよく運ぶ地域には店がないので実際に運んだことはないのですが、配達員用アプリに表示される「今、注文が多く届いている料理店」の中にリンゴ飴専門店の文字がよく出てきます。高田馬場や池袋に店があるようなので、今度食べに行ってみようと思います。

●渡辺雅史(わたなべ・まさし) 
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。

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