ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!
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毎週同じことを言っていますが、今年の夏はとにかく暑くてヤバいですね。この夏を涼しく乗り切るために、保冷枕とか冷たいアイマスク、保冷剤などの冷感グッズを使っている方はたくさんいらっしゃると思います。
そのうちに暑さが和らいでくると、これらの商品を処分したくなるときが来ると思いますので、今週は保冷剤など冷感グッズの捨て方についてお話します。
保冷剤の中にはジェル状の液体物が入っていますが、これをシンクなどに流して捨てるのはやめたほうがいいです。かねがね「液体をゴミに出してはいけない!」と言っていますので中身を流したくなる気持ちはわかりますが、このジェルはおむつなどに使われている吸収剤と同じ成分ですので、水をめちゃくちゃ吸収します。なので、水に流してしまうとパンパンに膨らんで排水管に詰まり、大変なことになります。
東京23区で保冷剤は「可燃ゴミ」で、オムツと一緒です。ただ、地方によっては「焼却炉に負担をかけたくない」という理由から不燃ゴミに出して、というところも結構あるようです。
■保冷剤のアップサイクル
保冷剤は夏にもらう機会が多いと思いますが、秋になって大量に捨てられているのをよく見ます。保冷剤の回収ボックスを設置しているお店もありますので、チェックしてみるといいかもしれません。
ただ、保冷剤には再利用のアイデアがたくさんありますので、捨てる前に何かに使えないか考えてみましょう。
保冷剤の中身にアロマを垂らすと芳香剤の代わりになったり、ハッカを混ぜれば虫よけになったりと、保冷剤にいろんなものを吸収させることで新しい用途が生まれます。
また、観葉植物の土に混ぜておくと、吸水性が高い素材ですから水をそんなにあげなくても済むようになります。凍らせるだけでなく温めれば、蒸しタオル的な温かさで気持ちよかったりもします。
こういった再利用は「アップサイクル」と言うんですが、ものが無駄にならない上にやってみたくなる面白いアイデアがいっぱいあるので、楽しく取り組むことができますよね。
■冷感スプレーは捨てるときに注意!
涼しく過ごすための工夫はいろいろあると思いますが、気をつけなければいけないのがスプレー類です。熱中症対策としてスプレーするだけで涼しく冷える商品がいくつもありますが、スプレー缶の捨て方には注意が必要です。
不要になった場合は、中身を全部出してから捨てるようにしましょう。中身が入っている状態で捨ててしまうと、爆発や発火の危険性があります。
中身を出しきった缶は、関西では「底部に穴を開けてから捨てる」のがルールという地域もありますが、ここ10年ぐらいは「穴は開けなくてもいい」という地域が増えているように思います。
5年ほど前、スプレー缶の中身を室内で抜いた結果、大爆発を起こした事件がありました。このときは消臭スプレーの中身を抜いていたようでしたが、換気をしていない室内で作業をし、手を洗おうとしたときに湯沸かし器の炎で発火、数十人に及ぶ負傷者が出る大事故になりました。
こういった事故も実際にありますので、スプレー缶の処理には気をつけましょう。中身を抜くときは必ず屋外で、火の気がある場所ではやらないように! 完全に使い切ってから捨てるようにすれば、事故が起こる心配はありません。
空のスプレー缶は基本は「不燃ゴミ」ですが、地域によっては空にして穴を開けたら缶資源で出してもいいですよ、というところもあります。
暑さを乗り切る工夫をして、その上で出たゴミは正しく安全に処分しましょう!
滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式X(旧Twitter)【@takizawa0914】
※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。