ウーバーイーツはクレカやオンライン決済以外に現金で代金を支払うことができます ウーバーイーツはクレカやオンライン決済以外に現金で代金を支払うことができます

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第23回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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ウーバーイーツはクレジットカード決済、PayPay、楽天ペイ、LINE Payなどのオンライン決済のほか、現金でも代金を支払うことができます。

現金の場合、商品代金と配達手数料の合計金額を配達員に支払うシステムになっています。

本来配達員がもらうべき配達手数料と一緒に料理の代金も受け取るため、配達員はもらったお金の大半をウーバーイーツの運営側に返金しなければなりません。

今回はそんな現金払いのお話です。

注文された方はご存じかと思いますが、ウーバーイーツの料理の代金は店の価格より高く設定されています。

例えばマクドナルドのビッグマックセットの場合、店で購入すると750円ですが、ウーバーイーツで注文する場合の価格は950円。この値段に配送料550円が上乗せされるので、支払う代金は店で直接購入の2倍の1500円となります(お住まいの場所、マクドナルドまでの距離によっては多少価格が異なります)。ということで、現金払いの場合、配達員に1500円を渡すことになります。

私のような自転車配達員の場合、1回の配達でもらえる配達料は300円ほど。そのため、1500円のうち1200円を運営側に返金しなければなりません。この返金は週に1回、クレジットカードもしくは指定の銀行口座から引き落とされます。

配達員用のアプリには「現金払いの注文を受け付ける」かどうかの設定画面があり、受けたい場合はONにします。その場合、クレジット決済、オンライン決済、現金決済のすべてを受けられ、配達依頼がたくさん舞い込んでくるので、配達員の多くは現金払いをONにしています。

私が主に配達しているエリアは置き配を希望する方が多い場所。現金払いは配達員に直接現金を渡すので、置き配は不可となっています。そのため、現金払いの案件よりクレジットカードやオンライン決済の案件が圧倒的に多く、現金払いの配達で受け取る現金よりも、キャッシュレス払いの配達で稼いだ配達料のほうがほぼ上回るので、現金払いの配達を受け付けてもクレジットカード経由で運営側に返金したことは一度しかありません。

唯一引き落とされたのは、2021年の年末に配達した時のこと。コロナで不要な外出を避けて欲しいといわれていたためか、クリスマスあたりからデリバリーで豪華な料理を注文する人が増えました。高層ビルの最上階にあるレストランや銀座のすし店など、ワンランク上の店に料理を受け取りに行っては、湾岸エリアのタワーマンションまで配達を繰り返していました。コロナ禍だったため置き配が多く、手元に釣り銭の小銭をたくさん持っていても使う機会がまったくありませんでした。

そんな時に舞い込んできたのが東京駅近くにある高級ステーキ店の依頼。化粧箱に入った高そうなステーキを4人分、港区内のマンションまで運んで配達員用アプリを確認すると「現金で支払う」との指示。注文者の家に到着してインターホンを押し、支払い金額を確認すると画面に表示されたのは「7万0532円」の文字。そして配達終了後に表示された私がもらえる配達料は「523円」。この配達を受け終わった時点での私の稼ぎは3万円ほど。残りの時間で4万円を稼ぐことができず、結局翌週の火曜日、私の銀行口座からは3万5000円ほどが引き落とされました。

手元に7万円があるので収支的にはもちろんプラスですが、自転車を漕いでポイントを稼ぎ、そのポイントが毎週口座に振り込まれる。そんなゲーム感覚なところが配達をやっていて楽しかったので、口座からお金を引かれるのは違うなと感じました。また、現金配達を行なうと、夜の配達で人通りの少ない道を大金持って走る可能性もあるんだなと。そんなわけで、以降現金配達を受けるのはやめました。

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渡辺雅史

渡辺雅史わたなべ・まさし

フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。

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