滝沢秀一たきざわ・しゅういち
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式X【@takizawa0914】
ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!
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先週は、僕が作った「ゴミ相関図」の話をしました。今週もその続きをお話します。
ビンはペットボトルのことを「飲み物仲間」と思っていて好意的なんですが、ペットボトルからするとビンは生理的に無理なんです。
例えば、ペットボトルばかりのゴミ袋にビンが1本でも入ってると「これ、ビンが入ってるな」と、持った瞬間に分かります。存在感がすごいんです。ビンはビンとしてリターナブルや資源でのリサイクルがありますから、他のどことも仲間になるべきではないんですよね。
割れてしまったり汚れている場合は「燃えないゴミ」になりますから、燃えないゴミはビンを仲間だと思っているわけです。
東京の渋谷区では、ビンと缶とペットボトルの回収が同じ日なんです。だから「飲み物仲間」をまとめて一つの袋に入れる人がいっぱいいるので、こちらとしてはちょっと困るなと思っています。
一方、横浜は「ビン・缶・ペットボトルを同じ袋に入れて出してください」というルールになっています。これは、横浜がビン・缶・ペットボトルを選別できる機械を持っているからなんですね。だから横浜から他の自治体へ引っ越した人は、そのときの名残ですべて一緒に捨ててしまう人がいるようです。
僕が回収する地域では、ゴミにペットボトルやビン、缶が混ざっていると、袋を開けて手作業で取り出しています。これはなかなか大変な作業なので、「飲み物仲間」を一緒にせずに、それぞれを資源として扱ってもらえると助かりますね。
燃えるゴミと新聞は、「生ゴミと一緒なら遊ぶよ」って思っています。でも燃えるゴミと新聞ふたりきりだと、ちょっと気まずいんですよ。
燃えるゴミに新聞が入っていると「資源に出せばいいのに、もったいない」と思いますが、ただ、その新聞に生ゴミがくるまれていると「ああ、そういうことか」と納得します。
段ボールと新聞はクラスが一緒なだけであんまりしゃべったことがなく、粗大ゴミは燃えるゴミと友達になりたいと思ってるけど、燃えるゴミとしては粗大ゴミは別世界の人と思ってるわけです。
先週も言いましたが、やっぱり燃えるゴミは「スター」です。すべてのゴミのセンターにいて、燃えるゴミで出してしまえばすべてOK、そんな意識がみんなの中にあるんだと思います。ただ、よく言えば「スター」ですが、「都合のいい相手」として利用されていることもあるのかもしれません。
ゴミに関して、ふと思い出した話がありました。
それは「東京ゴミ戦争」についてです。詳しいことは調べればいくらでも出てきますので簡単に説明すると、1950年代後半から1970年代にかけて、杉並区と江東区がゴミの処理を巡ってモメた、という出来事です。
その期間、杉並区にゴミ処理施設がなかったため、杉並区のゴミを江東区が処分していたのですが、江東区としては、杉並区がゴミを捨てるのは仕方がないと。ただ、ゴミをいくらでも捨てられると思っているのが許せない、ということで関係がこじれたわけです。
ゴミを持ってくる前に、少しでも減らす努力をしてくれと。これは、今現在でも言えることでしょう。資源に出せるものは分別し、少しでもゴミを減らす意識を持つ必要が我々にはあるんだと思います。
それでも、「ゴミはいくらでも捨てられる」という意識はなかなか変わらないでしょう。それこそ大スターの「燃えるゴミ」に頼り切って、燃やしてしまえばオールオッケーと思っている方、多いんじゃないでしょうか? 都合よく使っていると、しっぺ返しを食らうことになります、この相関図を見て、少しでもゴミのことを考えてもらえたらうれしいなと思います。
※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式X【@takizawa0914】