2024年は「置き配」をさらに広げるのみならず、配達遅延を受け入れることにインセンティブが生じるようなポイント制度導入されるはずだ 2024年は「置き配」をさらに広げるのみならず、配達遅延を受け入れることにインセンティブが生じるようなポイント制度導入されるはずだ
あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか? 『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「2024年のヒット予測」について。

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2024年のヒット予想をしてみたい。ただ、生成AIがこれだけ流行するとは、2022年末には誰も思わなかった。ヒット予想はポジショントークから離れられず、「自分語り」に近い。開き直って、私的ヒット予想をどうぞ。

【音楽編】
(1)カメレオン・ライム・ウーピーパイ:かねて特殊なポップスを聴かせてくれたが、『This is Love』から独自の世界観が完成。現在、大注目。

(2)DALLJUB STEP CLUB:ベテランともいえるオルタナバンド。ただし、2023年に立て続けに発表した楽曲が異常なのだ。『NINTENDO』なんて最高。何があったのだろう。

(3)Paledusk:エクストリーム・ミュージックの先端を走るバンド。きわめて新しい挑戦をしつづけ、海外アーティストとのツアーも多数。変態が"熟した変態"になったというか。台風の目になるのは間違いない。

【ビジネス編】
(1)対話型AI英語教師:もっとも有名な『スピーク』をはじめ、英会話系アプリの進化が異常だ。私は複数のアプリにドハマリしている。いつまでも話していたい、話し相手としてとにかく楽しいアバターを用意しているアプリが多い。AIを企業のCEOに指名したニュースすらいくつか出ている。もはや人間の代替か。

なお2024年はアメリカ、インド、台湾、そしてロシアで大きな選挙が実施される。AIを使ったフェイク動画も"大ヒット"するだろう。

(2)痛い美容:最近、仕事で接する女性らと話すと、「痛いパック」などの話題で盛り上がる。マイクロニードルという極小の針を並べた技術があり、目の下の小じわ対策などで売れている。痛いと効いている感覚もあり、同技術を使った「痛い美容液」まである。コロナ禍収束後の美容トレンドから目が離せない。

【社会問題編】
(1)遅延ポイント:2024年は物流問題が具現化する。トラックドライバーの時間外労働の上限は年960時間となり、さまざまなところでモノの配送遅延が頻出する。運ぶだけではなく、物流の現場では荷下ろしと荷積みの労働力も確保できていない。

そこで、置き配を選択することで得られるポイント制度が導入され広がるはずだ。さらに「遅延してもいいし、いつ持ってきてもらってもいい」と態度表明することで入手できるポイントも実現するだろう。「遅延こそクールで、持続可能社会に寄与する」イメージが広がる年になる。

(2)医療DX:同様の働き方改革は医療現場にも及び、医師に診てもらえない問題を引き起こす。ならばオンライン問診・診療、医療データの活用などを検討・拡大せざるをえない。個人的にはヒットしてほしい領域。

【その他編】
(1)『THE FINALS』:オンライン対戦ゲーム。息子に教えてもらった。中毒者続出。SNSではこのゲーム紹介ばかり。急拡大するはず。

(2)ものづくり革命:具体的な商品の話ではないが、工場設備の進化に伴い、きわめて少ないロットで衣類などが作れるようになった。さらにAIが個別のデザインもしてくれる。2024年は個々人に最適なものづくりで、周りが好みにデザインされる社会のはじまりになるかもしれない。

【最後に】
ヒット予想、当たらなかったら土下座する。AIはしゃがめないんで。

坂口孝則

坂口孝則Takanori SAKAGUCHI

調達・購買コンサルタント。電機メーカー、自動車メーカー勤務を経て、製造業を中心としたコンサルティングを行なう。あらゆる分野で顕在化する「買い負け」という新たな経済問題を現場目線で描いた最新刊『買い負ける日本』(幻冬舎新書)が発売中!

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