渡辺雅史わたなべ・まさし
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。
年末年始によく狙うのは回転ずしより高価格な商品が多いすしチェーン。その理由は......
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第31回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります！
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皆さま、あけましておめでとうございます。
年末年始、そして成人の日があった3連休が終わり、世間ではお休みモードが終了。都内でウーバーイーツの自転車配達員をしている私にとっては、稼ぎ時が終わった時期です。皆さんはお休みをどのように過ごされましたか？ 私は肌に突き刺さっているのではないかと錯覚するような冷たい風を浴びながら配達しておりました（厳密に言えば、この原稿を書いているのはお正月休み中なので「配達しております」という表現が正しいです）。
今回は、年末年始の配達でも再確認できた「稼げる場所」について、あれこれ書きたいと思います。
配達員の間で稼げる場所としておなじみなのはマクドナルド。三軒茶屋や恵比寿を通ると、店舗近辺の自転車を停めやすいスペースでは配達員が溜まっているのをよく見かけます。
現在も配達依頼は多いので、規定の配達回数を達成するともらえるクエストボーナスを手っ取り早くゲットしたいと思うならマクドナルド近辺で待つのもアリだと思います。ですが最近は配達料が下がっている上、マックデリバリーの代行配達というウーバーイーツとは配達ルールが少し異なる面倒な案件が入ってくる可能性もあるので、私はマクドナルド近辺で待つことはありません。
個人的にマクドナルドよりも効率良く稼げると思って狙っているのは、スターバックスです。
私がよく配達をする中央区の日本橋、銀座エリアの雑居ビルには貸スタジオがたくさんあり、YouTuberやVtuberの皆さまがそのスタジオを使われているようです。
そんな収録スタジオにスターバックスの商品を持っていくことがたまにあるのですが、とにかく商品の量がすごい。ドリンク30杯なんてのは当たり前。多い時は50杯以上なんてこともあります。
ここまで量が多いとひとりで運ぶことができないので、周囲にいる複数の配達員に依頼が出されるのですが、スタジオからスターバックスの注文がよく出るのは13時から16時。昼食と夕食のピークタイムの間で多くの配達員が休憩している時間帯。そのため、配達が終わって再びスターバックスへ向かうと、残っている商品をまた運ぶこともしばしば。配達料金は2回分もらえるので効率良く稼げます。
ただ、放送作家やライターとしてテレビ局、ラジオ局、出版社に出入りしている身としては、スタジオに大量に並ぶスターバックスの商品やケータリングの食べ物を見ると「あっちの業界は景気がいいんだな」といった思いが込み上げてきますが......。
朝の配達で狙うのは地域密着系の喫茶店。日本橋や銀座の喫茶店は、飲み物だけでなく、食事やスイーツにこだわったお値段少々高めの店が多い。こういった店で注文するのは経済的に余裕のある方。ということで配達料が安くてもチップが狙える可能性が高い。運が良ければ300円の配達料に対し500円のチップがもらえることもあります。朝はドトールコーヒーやコメダ珈琲店といった全国展開するチェーンからの注文も増えますが、私はチップ狙いで地域密着系の店の近くに行くことがよくあります。
年末年始によく狙うのは、「板前寿司」や「すしざんまい」といった、回転ずしより高めの価格の商品が多いすしチェーン。
年末年始は、すしの注文がものすごく増えます。「スシロー」「くら寿司」といった大手チェーンはもちろん、私が狙う「板前寿司」「すしざんまい」、テイクアウト専門の「京樽」「ちよだ鮨」などなど、あらゆる店に商品を受け取りに行きます。
なぜ私が高めの価格の商品が多いすしチェーンを狙うのか。それはかなり高額のチップを狙えるから。
普段は、チップをいただける頻度は20回から30回の配達で1回ほど、金額は100円前後。それに対し、価格帯の高いすしを頼む方の場合、チップをいただける確率はほぼ100%、金額も500円から1000円ほど。配達料が年々引き下げられている中で、このチップの頻度と金額は魅力です。
この正月は、麻布の高級住宅街に近い「板前寿司」からの配達を狙った結果、7回の依頼をゲット。3412円のチップをいただきました。
新年1回目から500円や1000円を獲得するためにちまちま動いている、なんてスケールの小さい話をしてしまいましたが、ウーバーイーツの自転車配達員に景気の良い話はないので、2024年もこぢんまりとしたエピソードをあれこれ書かせていただきます。
本年もよろしくお願いします。