滝沢秀一たきざわ・しゅういち
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式X【@takizawa0914】
ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!
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昨年末、大阪府の『ひらかたパーク』で「次世代ゴミ収集の実証実験を行う」という発表がありました。
園内にあるゴミ箱のゴミの量を自動で測定し、「自律走行型モビリティ」がゴミ回収に向かう、ということだそうです。
簡単に言うと、ロボットが自動でゴミを回収してくれる、ということでしょうか。
また、香川県でも「チャットGPT」を使ってゴミの出し方を案内するという取り組みもありました。
このように、デジタルやAIを利用した新しい取り組みというのは増えています。
埼玉県座間市には、ゴミ出しアプリ「さんあ~る」というものがあり、アプリを利用するとゴミの日の通知が来たり、ゴミ分別の方法が確認できるそうです。
座間市では「ゴミ収集のスマート化に関する実証実験」が行われていて、ゴミ収集車の収集状況が管理センターでリアルタイムに確認できます。つまり、配達アプリ「ウーバーイーツ」のように、ゴミ収集車がどこを走っているかわかるわけです。
ゴミ収集状況が共有できると我々回収する側はとても助かるし、環境的にもいいことがあります。
僕がゴミ回収をしている地域ではゴミ回収車が通るルートは1週間通して決まっていて、急な変更はできません。ゴミがあまりにも多い場合は電話でヘルプ要請をすることもありますが、「もうみんな上がっちゃって、応援は回せません」ということがしばし起きます。
でもこのシステムがあれば、共有された回収状況を確認して臨機応変にヘルプを回すこともできるわけです。
例えば、段ボールは出される量の予測が付きづらいんです。一軒でも引っ越しがあると膨大な量の段ボールが出ますし、それが数件続いてしまうと回収しきれないということもよくありますが、このシステムがあればヘルプの要請がスムーズに行えるでしょう。
ちなみに、座間市のケースでは「燃やすゴミ」として剪定された枝などが大量に出た場合、通常であればそのままゴミとして回収して燃やすことになりますが、清掃員が状況をアプリに登録をすると別の車がきて「バイオマス燃料」などのリサイクルとして持って行くそうです。
ゴミとして燃やすことなくリサイクルに回せる、これは環境的にもすごくいいですよね。
千葉県の幕張ベイタウンでは「空気輸送システム」という、「ゴミの瞬間移動」を実現したシステムが採用されています。設置されているゴミ箱へゴミを捨てると、空気の力で地下のパイプを通りゴミ処理施設まで一気に運ばれるというものです。
ただ、これはシステムとしては広まりませんでした。やはり維持費が膨大で、メンテナンスもかなり大変なようです。
ヨーロッパでは細かいゴミ分別はなく、回収後に機械で分別されるところが多いようです。
日本ではそこまで分別の自動化はされてはいませんが、圧縮した空気を吹き付けてプラスチックを分別したり、磁選機でアルミ缶とスチール缶を分別する、ということはあります。
あまり普及はしていませんが、ガスコンロに使うガス缶を、ガスが入ったままでも穴を開けて中身を抜く機械が日本に数台あるそうです。ただ、この機械はかなり高額なようです。
幕張の話もそうですが、便利なものはとてもお金がかかるんです。
将来的に低コストで、AIがすべて自動分別してくれる機械が開発されたとすると、とても便利にはなりますがゴミの量は減らないでしょう。むしろ何でも捨てちゃえってことで、今よりもゴミは増えるかもしれません。
ゴミは、捨てて燃やした後にもお金がかかります。ゴミの最終処分場に降った雨はゴミの灰を通過すると猛毒になるそうです。そのままでは下水に流すことができないので、その雨を浄化するために東京23区だけで年間26億円の予算がかかっているんです。
自動化が進むと楽にはなりますが、各自でゴミを出さない努力をするのが一番っていうことにたどりついてしまうんですよね。
※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式X【@takizawa0914】