渡辺雅史わたなべ・まさし
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第36回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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昨年3月13日から自己判断となったマスクの着用。あれからおよそ1年。自己判断となってしばらくの間は着用していた飲食店でも、マスクを着用していないスタッフをよく見かけるようになりました。
自己判断なので、そういったことに関する批判的な思いは一切ありませんが、私はウーバーイーツの配達をする際はマスクを着用しております。なぜ着用しているか。それは食品を運ぶ仕事だということもありますが、病院へ運ぶ機会が多いからです。
今回は、そんな病院への配達話です。
私がよく配達をするエリアには、聖路加国際病院、東京医科歯科大学病院、三井記念病院などなど、大きな病院が10以上あります。そして私が配達を始めた当初から、病院は定番の届け先です。
ウーバーイーツの一般的なピークタイムは昼食時の11時から12時30分と、夕食時の18時から21時なのですが、病院への配達のピークタイムは22時以降。遅い時は深夜1時過ぎに配達なんてこともあります。
配達先はほとんどが救急病棟。救急受付の入口の脇にある警備室前で待ち合わせをして、注文者であるお医者さまに手渡すというのが定番でしたが、コロナで病院に入ることに制限がかかってからは、警備室の近くに宅配ロッカーが登場。ほとんどの病院がロッカーに置いて配達終了というシステムになりました。
病院の外で手渡ししていた時代、指定の場所に疲れ切った表情でやってくる白衣姿の先生に「おつかれさまです」と声をかけて商品を渡すのが私なりの病院配達の儀式みたいになっていたのですが、それができなくなって少し寂しいです。
正確にカウントしたわけではありませんが、私が配達するエリアで先生たちが注文する人気メニューのツートップは、CoCo壱のカレーと伝説のすた丼屋のすた丼。2023年の夏には1週間で4回、22時台にすた丼屋に受け取りに行き、病院へ届けたことがありました。CoCo壱も22時から深夜1時の間、コンスタントに病院への配達があります。
なぜ、病院の先生方はカレーとすた丼を注文するのか。ハッキリした理由はわかりませんが、おそらく深夜勤務なのでガッツリしたものを食べたいというのと、手早く食べられるということ、そして急な手術や治療が入って受け取るのが遅れて冷えてしまっても麺類のようにまずくならないというのが理由かと思われます。
病院への配達かなと思って配達してみたら違う場所だった、というのが敷地内にある看護師寮への配達。立地から推測するに、救急系の看護師の方が住まれているのでしょう。こちらも一般的なピーク時ではない時間に注文が入ってくることが多く、女性の看護師の方が住まれている寮でもガッツリ系の冷えてもまずくならないものが中心。
部屋の前に置き配もしくは建物の入り口の宅配ロッカーに置くケースがほとんどなので、こちらも急な仕事で予定通り寮に戻れないことがあるのでしょう。皆さまご苦労さまです。
病院の配達で最近増えているのが、院内の店に商品を受け取りに行くというパターン。
大きな病院には有名チェーンなど、外部の企業が運営するカフェが入っています。この店に商品を受け取りに行くパターンがこの1年でグッと増えました。
特に多いのが聖路加国際病院のスターバックス。ここから自転車で4、5分で行けるところにスターバックスが2軒あるのですが、病院内の店の方が近隣の店舗よりも待ち時間が少ないからなのでしょう。銀座周辺で働く方やお住まいの方に結構運んでいます。病院内のカフェは利用者が少なすぎると撤退してしまう可能性があるので、こうやって院内の店舗でウーバーイーツの配達をOKとするルールはいい取り組みだなと感じました。
今回紹介した配達先や受け取り先へ行くにはマスクの着用が必須。ということで、私生活ではマスクを着けていませんが、配達中のマスクはまだまだ欠かすことはできません。
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。