ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!

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インドネシアの首都・ジャカルタの郊外には、15階建てビルくらいの高さまでゴミが積み上がった町があります。ジャカルタで出たゴミが日々ここに運ばれてきていて、「東南アジア最大級のゴミ捨て場」だそうです。

捨てられたゴミをここに集めるのはそろそろ限界なようなのですが、ほかに処理ができる場所もなく、次から次へとゴミが運ばれ、さらに膨れ上がっているのです。

ジャカルタは人口が爆発的に増えており都市機能はパンク寸前で、「人類史上最大」といわれる首都移転プロジェクトが持ち上がっているそうです。2月14日にインドネシアで行われた大統領選挙では、新首都への移転を推進するプラボウォ氏の当選が確実となり、おそらくこのプロジェクトはさらに進んで行くのでしょう。

僕はジャカルタへ行ったことが一度だけあるんですが、バイクが多くて排気ガスがものすごく、町にも人があふれていて、確かにゴミも大量に出るんだろうなというイメージがありました。

自分には関係のない他国のこと、と思うかもしれませんが、下手をすれば日本でも首都圏に人口が集中しゴミがあふれて捨てられなくなる、という事態が起きる可能性は十分あります。日本全体ではでゴミを捨てる場所がなくなるまで約20年、とも言われていますので、他人ごとではありません。

そういった事態に直面したらどうしたらいいんでしょうか? まず考えられるのはゴミ処理の有料化です。すでに有料ゴミ袋の使用が義務化されている自治体もありますが、そういった地域のほうがゴミの量は確実に少なくなっているようですので、全国的に導入していくというのは一つの方法です。

ゴミを少なくするのではなく、もっとゴミを捨てられるようにする方法として、最終処分場の寿命を延ばす、という考え方もあります。莫大なお金がかかると思いますが、埋めていた昔のゴミを一度全部掘り返す、というやり方です。

どういうことかと言うと、昔はドラムセットを捨てたとすると、それを燃やしたり砕いたりせずそのまま埋めていたんです。なので、そういったものを掘り出して改めて砕いたり焼いたりすることで体積が小さくなるので、さらに埋め立てる場所が確保できるわけです。

昔は「最終処分場でハエが大量発生!」ということがよくありました。それは燃やさずに埋めていたからなんです。この話からもわかるように当時は処理しきれていないものが、今でも埋まっているので、一回掘り起こし、燃やして灰にすれば、体積が減ります。

ただ、ものすごくお金がかかる大変な作業ですし、世界的に批判を受ける可能性も考えられます。今の日本ほどゴミを燃やす国はほかにありません。世界の7割の焼却炉が日本にあるといわれていて、ほとんどの国はジャカルタのように燃やさずにそのまま埋めているんです。

日本はこのような焼却炉施設で、ゴミの山を作らないようにしています 日本はこのような焼却炉施設で、ゴミの山を作らないようにしています

何故かというと、日本とは違って広い土地があるからなんですね。アメリカなんかも国土が広いので、ゴミを燃やして容積を減らす必要がないんです。さらに、燃やすということは燃料を大量に使いCO2を排出しますので、それを避けるため、ということもあります。

先日、ゴミ焼却炉の方としゃべっていたのですが、焼却炉に一番入れたくないものはプラスチックなんだそうです。燃やすと有毒ガスが出ますし、プラスチックはもともと存在しなかったものを加工して作り出し、それをさらに燃やすわけですから、カーボンニュートラルの観点からするとCO2の量はとんでもないことになっちゃうんだそうです。

「今は燃やしてるけど本当は焼却炉に入れたくない」と。だからこれからのゴミ問題は、間違いなくプラに焦点が当たるだろうと言っていました。

プラスチックを別のプラスチック製品に生まれ変わらせる「マテリアルリサイクル」にも限界があります。また、熱回収といって「サーマルリサイクル」というやり方もありますが、これはプラスチックなどのゴミを燃やしたときの熱エネルギーを使って発電をしたりする方法です。プラスチックの原料は石油ですから、高い熱量が生み出されるわけです。

一見、効率的で有効なリサイクル方法だと思うのですが、このやり方は世界からメチャメチャ叩かれるんだそうです。「結局お前ら、燃やしてCO2出してるじゃないか」って。これはリサイクルとして認められてないようです。

ジャカルタのように首都を移転せざるを得ない状況になる前に、ゴミやプラスチックの問題は考えておく方がいいのかもしれません。

※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。

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