ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!

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先月、広島県福山市に新しいゴミ処理施設ができたことがニュースになっていました。1日200トンのゴミを処理できる焼却炉が3基あるなど、中国四国地方では最大規模で、4月に試運転、8月から本格稼働の予定だそうです。

僕が見たことのあるごみ処理施設で大規模なものの中に、「溶融炉」というものがあります。関西のほうに多いらしいのですが、どんな素材であっても溶かすことができ、溶かしたものは「スラグ」いう素材に生まれ変わります。

とても便利な施設なのですが、溶融炉はすごくエネルギーがかかるので、燃料代が高騰している昨今では、維持するのにかなりのお金がかかるのだと思われます。

ほかにちょっと変わった施設で言うと、大阪市にある舞洲工場という焼却炉は、ディズニーランドみたいにかわいく作られています。フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーというオーストリア出身の芸術家がデザインしており、ゴミ処理施設とは思えない奇抜な外観です。

中には絵とかも飾ってあるそうで、見学ツアーも組まれており外国人観光客にすごく人気だそうです。ここをきっかけにゴミに興味を持ったという人も多く、われわれ清掃員にとってもすごく意味のある施設だと思います。

ゴミを処理する焼却炉は、近隣の住民から歓迎されづらい施設でもあります。最近ではそれを解消するために、様々な工夫を凝らして作られることが多いようです。

オランダでは、ゴミ処理施設の屋上部分を斜面にし、スキー場として住民たちに開放しているところがあります。

あとは、武蔵野クリーンセンターもゴミ処理時のエネルギーが蓄電されるようになっていて、災害時にはそこから電気が共有されるそうです。ゴミ処理施設も地域に溶け込むために、別の存在意義を持つように工夫されています。

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■プラゴミの世界基準

今、世界基準の常識として、プラスチックゴミはどう処理するのが一番いいとされているか、わかりますか? 世界では「プラスチックゴミはゼロにする」というのが一般的な指標になっています。どう処理するかではなく、プラゼロ。プラスチックを作らない、というわけです。

これは現実的に考えてちょっと極端で、なかなか難しいところがあるようにも思います。現実的なラインで言うと、「プラスチックを強化する」のは大事かもしれないです。要は、プラスチックの強度を強くして何回も使えるようにすると、プラゴミは減るんじゃないかという考え方です。

「プラゼロ」にせよ「プラ強化」にせよ、今後の世の中では使い捨ては難しい時代になってくるんじゃないでしょうか。

ただ、ゴミに関してちょっと希望的な話もあって、僕がゴミ清掃を始めた当初は、日本のゴミ捨て場の寿命は残り21.4年と言われていました。それが22.4年になり、今では23.5年と言われています。少しずつ寿命が延びているんです。

高齢化などが原因でゴミが減っているということもあるようですが、やはり分別という意識が浸透してきているからだと思います。

僕が子供のころなんかは、ビンでもカンでも紙くずでも何でもかんでも同じゴミ箱に入れていました。ちゃんと分別をするようになると、ゴミは減るんです。さらに分別意識を強くすれば、変わらずゴミを捨てられる環境は維持できるのかもしれません。

※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。

マシンガンズ・滝沢秀一の『金持ちのゴミはなぜ少ないのか?』は毎週木曜日更新中!