渡辺雅史わたなべ・まさし
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第41回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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どんなお仕事にもトラブルはつきものですが、特にウーバーイーツはサービス業である上、直接顔を合わせない店と注文者をつなぐ配達員が、ウーバーイーツの組織に所属しない個人事業主という関係性。間違いなく他のお仕事よりもトラブルが起こりやすいビジネスモデルとなっています。
そんなわけで、ウーバーイーツにはサポートセンターがあるものの、少なくとも配達員に対する「サポート力」は年々落ちています。
私が配達を始めた頃は、配達員用アプリにサポートセンターと電話でつながるボタンが表示されていて、トラブルが起こった場合に電話で指示を仰ぐことができました。それがいつの間にかこの電話ボタンが消え、ネットなどで自力で電話番号を調べなければならくなり、その後は自動応答チャットでの受付のみとなりました。
最近では配達員用アプリの「ヘルプ」ボタンを押してもFAQに対する回答しか掲載されておらず、個別のトラブルに対してチャットでの対応もなかなかしてもらえない、もしくはなかなかチャットにたどりつけないプログラムに変化しています。皆さんが使用されている注文者用のアプリでも、トラブルが起こった際の問い合わせ先は見つけにくいところにあるのではないでしょうか。
おかげで私の場合、配達したにも関わらずお金が支払われないトラブルや、過去の収入が検索できずに確定申告で困っている件を報告しても連絡がまったく来ない状況となっているのですが......。
個人的なことはさておき、サポートセンターが残念な感じのウーバーイーツを上手に使いこなすには、そもそもトラブルが起こらないようにすることが肝要です。そこで今回は、長年配達をしていて感じた、トラブル回避のためのテクニックを紹介します。
配達先の住所を設定する際に大事なのは、設定を入力後、住所とマンション名を「配達員への注意事項」の欄にも入れること。配達員用アプリで配達先を確認すると、マップの位置が微妙にズレていたり、示された場所や住所も合っているのにマンション名が違っているケースがあります。
運営側からの発表がないので原因はわかりませんが、先日、Androidスマホを使っている配達員に画面を見せてもらったところ、配達員用アプリの地図に使われていたのはGoogleMapでした。iPhoneを使っている私の地図はAppleMap。これら地図ソフトの互換性の問題で、建物名の間違いや配達先表示機能のズレが起こっているのかもしれません。
そういうことが起こっても、住所と建物名が注意事項の欄にハッキリ記されていたら、地図ソフトを立ち上げて住所を確認したり、マンション名をネット検索して所在地を調べることができるので、配達員への注意事項を書く欄に住所とマンション名、部屋番号を記入しておくことをオススメします。
知らない電話番号からの着信に必ず出るというのも、トラブルを回避するためには必要なことです。冒頭で触れたように、ウーバーイーツでは運営側と連絡を取るのは至難の業。注文してから商品到着までの間は、運営側とチャットで連絡が取れる仕様となっていますが、スタッフによる応答の前にAIがあれこれ質問してくるので、運営側とつながるまで時間がかかります。そこで、配達員や店がよく利用するのは電話による注文者への直接連絡です。
商品が届くまでの間は注文者、店、配達員がそれぞれ電話やチャットで連絡が取り合える仕様なので(注文者から配達員への連絡だけは商品到着から10分後ぐらいまで連絡可能)、店からの「注文を受けてしまったが、その商品は品切れだった」という連絡、配達員からの「店が混雑していて配達が大幅に遅れる」といった連絡は電話で行なうことが多いです。
ですが、この直接連絡できる通話機能はアプリを通して電話が発信されるため、注文者のスマホに表示されるのは普段見たことがない電話番号。これを不審なところからのコールだと思って無視してしまうと、注文や配達依頼がキャンセルされる可能性があります。場合によっては、以前この連載内の「ウーバーイーツ配達員が注文者からの応答がないときに使う10分タイマー」で書いたように、配達員が「10分タイマー」を起動し、10分後に商品代と商品を没収されてしまう可能性があります。なので注文から商品到着までの間は、知らない番号からの電話に出るよう心がけるとトラブルが避けられます。もし電話に出られない状況などであれば、スマホの画面をこまめにチェック、店や配達員からメッセージが入ってないかを確認することをオススメします。
一度に注文する量を配達員用のリュックに入る程度の量に収めるというのも大事です。配送料のことを考えると、大量の商品を一気に注文した方がトク。ですが、量が多すぎると、ひとりの配達員では運べません。そのため商品を受け取りに行った配達員が「商品が多すぎてひとりで運べません」と運営に連絡。そこから応援の配達員を手配する流れになるので、最初の商品が到着してからすべての商品が届き終わるまで時間がかかってしまうことがあります。
スターバックスなど一部チェーン店では、配達する商品の量を見て、店側で配達員を増員するか決めるため、すべての商品が到着するまでの時間は他店より短いですが、近くに配達員がいなかった場合は時間がかかってしまうこともあります。場合によっては全部の商品が届くまでに1時間かかる可能性もあるので、商品はひとりの配達員が一度に運べる「リュック1個分」ほどの量にまとめることをオススメします。
サポートセンターがうまく対応してくれればいいのですが、これまでの流れを見ると残念ですが、そこのサービス向上を求めても解決につながらないのがウーバーイーツの現状。今回紹介したようなテクニックを駆使して、上手にウーバーイーツを活用してください。
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。