滝沢秀一たきざわ・しゅういち
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式X【@takizawa0914】
ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!
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昨年、阪神タイガースが優勝したタイミングで、テレビ番組『アンタッチャブるTV』(フジテレビ系)の企画で大阪へゴミ拾いに行きました。「人が集まるところにゴミが集まる」「ゴミがゴミを呼ぶ」ということを前から話していましたが、まさにそんな感じ。優勝のテンションもあって町はお祭り騒ぎで、ゴミがあふれかえっているような状況でした。
以前の連載で「ペットボトルのラベルは、ひとつの集積場で全員がはがして捨てているか、誰もはがさないで捨てているかのどちらか」という話をしました。自分の出したゴミや資源って、知らないうちに人に影響を与え、また自分も影響を受けています。
僕が行ったときの大阪は、「ゴミをそこらへんに捨ててもいい」という悪影響をお互いに与えあっているような感じでした。
ゴミを拾っていると「今日だけやってもしょうがねえだろ!」「ネットニュースに載りたいだけだろ!」という罵声を浴びせられたり、 捨てられている傘を片付けようとしたら、キャッチみたいな人が「俺らが雨のときに使うんだよ!」と言われたり、とにかく大変でした。
そんな中でも頑張ってゴミを拾い、ふと振り返ると町がきれいになっていて「ああ、きれいになったな」と、ちょっとした達成感を感じることができました。
ただ、10分後に戻ってくるとまたゴミが捨ててあったりして。僕は、きれいなところってゴミを捨てにくいんじゃないかと思ってしまうんですが、「ここはゴミを捨てていい道路」とか、決めてる人がいるんでしょうね(笑)。達成感もあったぶん、徒労感もすごかったです。
僕はいろんな地域でゴミを見てきましたが、治安の悪い地域はどこも集積所が汚れてきたないと断言できます。「引っ越しする前にコンビニのゴミ箱をチェック」というのも、その町の治安を理解するために有効な手段だと思っています。
本当に汚れた町をきれいにするには、こん棒を持った警察の人に立っててもらうしかないんでしょうか(笑)? 路上喫煙禁止が始まった当初も厳しく罰金が科せられていましたが、何らかの罰則がないと難しいのかも?と思ってしまいましたが、それでも何とかゴミを拾い終えました。
僕の印象ですが、路上駐車する人は集積所の前に止める人が多い気がしています。収集に行くたびに「車移動させてください」とお願いすることがとても多いです。ゴミの近くだったら邪魔にならないだろう、みたいな心理が働くんですかね? ゴミの近くだったらいいでしょう、みたいな。
自動販売機の横にあるリサイクルボックスも、ちょっと見えにくいところにある場合は荒れていることが多いです。ペットボトルだけじゃなくタバコとかカップラーメンの空き容器とか、何でもかんでも捨てられてたりします。
最近では、みんなが排水溝にタバコの吸殻を捨てるので、排水溝がそのまま灰皿みたいに取り出せるようになってるところもあるそうです。でも、これもいいのか悪いのか、ちょっと考え物だなと思っています。
とにかく、町の汚れ方とその町の住人たちの心理状態はリンクしていると思います。町を歩いていて、路上がゴミだらけで壁にスプレーで落書きなんかもしてあったら、ちょっと警戒しますよね? 荒れた町は心も荒れがちだったり、余裕のある落ち着いた人が住んでいるところはとてもきれいだったりするんです。
町をきれいに保つことは、その町にいる人たちの気持ちもきれいに保つことにつながります。どんなに罵声を浴びせられても、大きなお世話と思われても、町をきれいにしていけばみんなの気持ちもきれいになると信じたいですよね。
それでも無理なら、こん棒を持った警察の人に頼るしかないかもしれません(笑)。
※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式X【@takizawa0914】