滝沢秀一たきざわ・しゅういち
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式X【@takizawa0914】
ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!
* * *
ゴミ分別のルールは地域によって違うので「分かりづらい」という意見をよく耳にします。引っ越すたびにルールが変わると混乱するでしょうから、当然、統一ルールを決めてほしいという声もありますが、そもそもなぜ地域によってルールが違うんでしょうか?
ゴミの回収ルールは、自治体ごとに決められています。自治体によって人口が違えば、当然税収が変わります。そうすると、立派な清掃工場を作ることが難しいところも出てくるでしょうし、ゴミの量によっては住民たちがそれぞれで手分別したほうがいい、という判断も生まれるわけです。
大都市の清掃工場だとゴミの量も多くなってきますので、「プラスチックは燃えるゴミで出してもらい、焼却炉に入れてしまおう」、みたいな考え方もあるんですが、プラスチックは石油製品ですから急に燃え上がり、焼却炉の壁を壊してしまうこともあります。
焼却炉の維持費はとても高く、修理するには税金を使うことになります。ですので、自治体によっては「プラスチックは燃えるゴミではなく燃えないゴミに出してください」という地域もあるわけです。
あとは、地域ごとに契約しているリサイクル工場があるかどうかによっても変わります。例えば東京都の渋谷区ではプラスチック資源の回収をやっていますが、世田谷区はやっていなかったりと、23区内でもルールはまちまちなのです。
そういった事情もあり、全国統一ルールはなかなか難しいかもしれませんが、環境認識について統一したものがあれば、そこから徐々に全国統一ルールに近づいて行くのでは、と思っています。
例えば、「においが付いている洗剤の容器は古紙に出せない」というのは、おそらく全国共通ルールです。そういうものをしっかり明示して意識を合わせていけば、限りなく統一ルールに近づいて行くのでは、ということです。
日本のように住人が手分別しているところは、世界的には少ないように思います。海外ではゴミを一気に集めて、作業員が工場で分別しているところがほとんどです。そうなると、ゴミを捨てるためのルールはほぼ不要になります。
それは捨てる側からしたら楽なのかもしれませんが、ゴミのことは何も考えなくなるはずです。どれだけの量で何を捨てようが、工場の誰かがやってくれるわけですから。ゴミ問題が自分事としてはとらえられなくなるでしょう。
ただ、やはり日本でもゴミの分別が少ないところは人気があるらしいです。ウチの地域は分別が十何種類もあるのに、道を隔てた向こう側は分別の必要がないらしい、ということになると、引っ越したいなって思う人は多いようですね。
あとよく言われるのは「ちゃんと分別したところで、どうせ全部燃やしてるんでしょ?」みたいなことです。陰謀論とまでは言いませんが、そういう話を信じる人がいるので我々としては困ってしまいます。
話は急に変わりますが、先日ギニア人の作業員と一緒にゴミ回収をしていたら、彼が急に「痛い!」と言いだしました。「どうした?」と駈け寄ったら、ゴミ袋に入っていた唐辛子の粉が回収車の回転盤で破裂して、目に入ったようでした。
僕も近づいたら目がピリピリしましたが、彼はまともに食らってかなり苦しんでいて、手元にあった麦茶で目を洗っていました。忍者の目つぶしのようなものですから、相当痛かったようです。
これ、ゴミを出した人は当然なんの悪気もなかったと思います。出し方のルールとしても問題はないのですが、そんなものでも我々にとっては凶器になる、ということを知っていただけると嬉しいです。
小麦粉も粉塵爆発という危険があったり、時には農薬を捨てる人もいます。回収車の回転盤に入るとゴミ袋は破裂&爆発しますから、唐辛子でなく農薬が目に入っていたら失明の危険だってあります。
いろいろお願いばかりで申し訳ないですが、ルールとマナーを意識したゴミ捨てをお願いできると、とてもうれしいのです。
※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式X【@takizawa0914】