渡辺雅史わたなべ・まさし
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第59回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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ウーバーイーツ配達員が商品を運び、手にする配達料。私が配達を始めた2018年初頭は、配達距離と配達時間で計算されていました。ですが現在は、注文需要や稼働中の配達員数などによって運営側が独自に算出したアルゴリズム(計算式)で決められています。
今回はそのアルゴリズムについての話です。
ウーバーイーツではたまにアルゴリズムが変更されます。どういった事情で変更されるのかはわかりませんが、この変更で配達料収入が大きく減ったり、微妙に減ったり、ちょっぴり上がったりします。
しかも、どのような基準で配達料が計算され、いつ配達をすると効率よく稼げるのか、アルゴリズムに関する具体的なことは配達員に伝えられていないので、内容を知ることはできません。
配達員の中にはXに自分の配達記録のスクリーンショットをアップしている人が結構いるので、それらの情報から、こんな時に配達料が高騰するのでは?という法則がうっすらと見えていました。その条件はこんな感じです。
●雨の日
●料理を作るのに時間がかかり、店で長時間待たされた場合
●すしやステーキなど商品が高額の場合
●土日の注文が殺到する時間帯
●他の配達員から拒否されまくった依頼
私の場合、とんでもない目に遭えば、この連載のネタになるかもと思いつつ配達しているので、来た依頼はすべて受けているのですが、たまに高額の依頼が飛び込んでくると「なるほど、この条件に当てはまるから今回の配達は高額なんだ」なんて思っていました。
それが、先日のアルゴリズムの変更で状況が大きく変わりました。超高額な配達料の依頼が、これまでの法則と関係なく飛び込んでくるのです。
猛暑で昼間の配達が危険なので、今は夜遅くから配達しているのですが、配達依頼が少ない時間帯のため、入ってくるのは1件320円のものばかり。そんな中、ごくたまに先ほど書いた条件に当てはまらないタイミングで1500円や2000円の依頼が入ってくるようになりました。店に行くと「注文が入ったばかりなので、もう少し待って」と言われることもあるので、どうやら配達員に断られまくったわけでもなさそうです。
東京エリアの配達員仲間に聞くと、みんな「そういう配達案件はたまに出るね」と返ってきます。中には「3300円の依頼があった」という人も。話を聞いてみると「理由はわからないけど、突然入ってくる」とのこと。理由なく普段の10倍の額の依頼がくるようになったので、このような人も現れています。
「法則性がなく高額依頼が入ってくるから、300円台の安い依頼は断るね」
安すぎる配達依頼を出した後、ボーナスタイムみたいな感じで高額依頼を出すのか、完全なランダムで高額依頼を出すのか。東京エリアだけで起こっている現象なのか。
どのようなアルゴリズムが働いてこのような現象が起こっているのかわかりませんが、根拠なく高額依頼を出しているであれば、配達員が安価な配達を拒否しまくって、アルゴリズムによって配達料の安い配達にされてしまった注文者は、商品が届くまで延々と待たされることになってしまうので、個人的にはもう少しバランスを考えた方がいいかと思います。
配達員にとっては、短時間で一気に稼げる可能性のあるシステムですが、以前のように法則性がある程度見えないと「1ヵ月で20万円稼ぎたい」といった人たちが「ウーバーは稼ぎが読めない」と、配達員離れが進むのでは、なんて思ってしまいます。
ちなみに、届いた依頼をすべて受ける私は、このアルゴリズム変更によって収入が若干下がりました......。
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。