渡辺雅史わたなべ・まさし
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第60回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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前回、ウーバーイーツの配達料を算出するアルゴリズムについて書きました。このアルゴリズムが変更されたことで私の収入は若干下がったのですが、6月下旬に導入された新たなシステムにより、さらに下がることとなりました。今回は、その新たなシステムについて書こうと思います。
この春、運営から東京エリアで「配達依頼レーダー」というものが近日中に導入されるというメールが届きました。
これまで、ウーバーはひとつの配達依頼をひとりの配達員に出し、その依頼を配達員が拒否した場合は別の配達員に依頼を出し......というのを配達員が決まるまで行なうシステムで配達員のマッチングをしていました。
一方、配達依頼レーダーは、ひとりひとりに依頼を出すのではなく、店の周囲にいる複数の配達員に一斉に複数の依頼を出し、依頼に応募した人の中から配達員をランダムに決めるシステム。配達員は複数出された依頼の中から好きな依頼に応募できるため、働き方の自由度がいっそう広がるというものです。そして6月の終わりに、この配達依頼レーダーが始まりました。
配達員への依頼はこれまでと変わらず、アプリを立ち上げ「出発」のボタンを押し、依頼が届くまで待機をします。しばらくすると依頼が届き、依頼を受けたい場合は依頼画面をタッチします。断りたい場合は、画面の隅にある「×」ボタンを押すか、画面をタッチせず、一定時間放置します。
しばらくは、そんな通常の依頼しか届かなかったので、本当に配達依頼レーダーを導入したのだろうかと思っていると、3件目に舞い込んできたのが2件同時配達で1236円という自転車配達員にとっては高額な配達。そして画面をみると「配達依頼レーダー」であることが表示されています。
高額配達だったので急いで依頼を受けると、「しばらくお待ちください」との画面が表示されたので、しばらくお待ちした結果、依頼は別の方が受注することになりました。続いてやってきたのは、1件496円という、これまた自転車では比較的高額な案件。しかしこちらも残念な結果に。
その後は1件320円や2件590円といった、配達依頼レーダーではない配達を繰り返していたのですが、1時間ほど経ったところで今度は2件1666円、配達の合計距離3.5kmという、20分ほど自転車を漕ぐだけで1666円も稼げる依頼が配達依頼レーダーで届きました。ですが、こちらも受けられませんでした。
さらに1時間後にも配達依頼レーダーで依頼が来たのですが、1件320円という激安な案件。受けてみたら、受注できました。結果、この日は配達依頼レーダーが4回届いて、受けることができたのは320円と安いものだけでした。
その後も何件か配達しているのですが、配達依頼レーダーで受けることができたのは1件320円から380円ほどの安いものだけ。これまで高額案件としてランダムに舞い込んでいた1500円から2000円ほどの配達はすべて配達依頼レーダー案件となり、高額案件の抽選は一度も当たらず、収入は結構減ってしまいました。
運営側から届いたメールによると、配達依頼レーダーの配達員は応募した人の中からランダムで決めることになっています。私のレーダー当選率は5分の1、一応何回か当たっているのですが、高額案件はすべてはずれ、安いものしか当たらないとさすがにへこみます。
また、導入当初、運営側から配達員は複数の依頼の中から自分に合った配達を選ぶことができるとの触れ込みがありましたが、配達募集時間が短いためか「配達依頼が同時に何件も出されている」という状況を私は見たことがありません。結果、いろんな配達依頼の中から自由には選べず、安い依頼ばかりを受注して、高い依頼は他の人が受ける状況になっています。
現在、配達員のXで配達依頼レーダーについての投稿が増えているので、選ばれる人の傾向などが見えてくるかと思いますが、私のようなおじさん自転車配達員の現状はこのような感じで、現在は1日1万円稼ぐのは厳しい状況となっております。
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。