「絶望で1週間くらい眠れませんでした」。そう語るのはアダルト系YouTuberのぽんたまん氏だ。
SNSを中心に年々厳しくなっているアダルト規制。YouTubeでもその流れは同じだ。ぽんたまん氏は「YouTube1本に絞って、他の仕事を辞めたタイミング」で、自身のYouTubeアカウントが停止。「他のアダルト系YouTuberには生き残ってほしい」と語るその本音にせまった。
■1万円企画でバズって本格参入
ぽんたまん氏がアダルト系YouTuberになったのは、たまたま風俗ライターとなったことがきっかけだった。
「投稿型の風俗情報サイトに下らない下ネタ記事を書いたら、編集長に体験レポを書かないかと誘われたんですよ。それで月に何本か書いているうちに、個人のメンズエステブログの記事を頼まれて書いたり、不動産とか他の媒体でいわゆるコタツ記事を書く、WEBライターで小遣い稼ぎをしていました。そんななかで特徴を出したくて、風俗ライターを名乗るようになりました」
かつて、風俗ライターと言えば新聞や雑誌での体験記事が主だった。しかし、風俗を取り上げる媒体は激減。ネットが主戦場となったが、そのギャラでは到底生活はできないそうだ。
「紙媒体に書いたのは一度だけですね。それも陰毛処理の記事で1/4ページもないくらいでした。それでもギャラはよかったですよ。ネットの体験記事は5000円程度で、良くて1万円。下調べして取材に行って、記事にして......それで生活するのは無理なんですよ。最高月収でも10万円くらいでしたから。たぶん風俗ライターだけで生きている人っていないと思います。
そういう事情があったので、動画編集にも手を出そうと思ったんです。それで動画編集の勉強を兼ねてYouTubeを始めました」
自身のYouTubeを始めたことで、他のYouTubeチャンネルの編集代行を受けるようになった、ぽんたまん氏。動画編集だけで月20万円ほどの収入となり、安定してきた。自分のYouTubeチャンネルはあくまで練習のためのものなので、特に登録者数も増えず、4年間で1500人ほどだった。
しかし、転機が訪れたのはおよそ1年前。突然、YouTubeショートでバズったのだ。各地の激安風俗と飲み屋をセットで紹介する「男の欲望を満たす一万円企画」は、瞬く間に数百万回再生を記録。この企画は「五反田編」や「新宿編」など、都内を中心に各地でシリーズ化されていたため、YouTubeチャンネルの登録者数も爆増。1年たたないうちに、1500人から9万5000人近くまで増加した。
「そこまで伸びるとは思わなかったですよ。そのおかげもあって、PR案件をもらえるようになったので、これまでの動画編集などは5月末で全部辞めて、YouTubeに力を入れたところだったんです」
アダルト系YouTuberは動画の広告収入がないため、PR案件やファンクラブ、グッズ、ブログでのアフィリエイトなどで収入を得る。ぽんたまん氏も同じように動き出したところだった。
「PR案件では単価を安くしすぎて50万円も稼げてなかったんです。だから自分もブログを立ち上げたり、YouTubeのメンバーシップでオフ会をやったり、少し前から収入の基盤を作ろうとしていました。それがまさか仕事を辞めた5日後、6月5日にアカウント停止になるとは思いもしませんでした」
■YouTuberはもういいかな......
ぽんたまん氏のYouTubeチャンネルの内容は、レビュースタイル。風俗店を利用した感想を語るという形だ。肌の露出もなく、アダルト系YouTuberの多くが同じような動画をアップしている。それが突然、アカウント停止となったのだ。何の問題があったのだろうか。
「YouTube側から詳しい説明はないので推測になりますが、PR表記をしてしまったことがまずかったみたいです。ステルスマーケティング規制があるので、PR案件には『有料プロモーション』の設定が必須です。しかし、アダルト業界の販促やキャンペーンはYouTubeの規約に抵触するようです」
コンプライアンスを守ったために、コンプライアンスに引っ掛かってしまったのだ......。
「実は同じ時期に、ほかのアダルト系YouTuberもアカウント停止されているんです。特にひとりはブログ誘導のためにYouTubeを運営しているんですが、そのブログで風俗店のPRをしているのが、おそらくアウトだったみたいです。そこまで調べて、アカウント停止するんだと驚きました」
あくまで推測ではあるが、他媒体でのPRもアウトだとしたら、隙あらばエロコンテンツを削除しようとしているようにも思えるが......。
「そう思えなくもないですよね。普通であれば、事前警告があったりするようなんですが、それもなく一発アウトで異議申し立ても通りませんでしたから。
でも、これは広告営業の人に聞いた話なんですけど、アダルト系YouTuberのほとんどは事務所に入っていたり、出資を受けていたりしているそうなんですよ。つまり、しっかりしたバックボーンがあったり、運営がついているので、YouTubeの規制をすり抜けるノウハウがあるんだと思います。
実際に僕は風俗店のPR案件でアカウント停止になりましたけど、YouTuberのなかにはそれも把握してちゃんと対策している人もいるみたいです......」
ぽんたまん氏が自身のアカウント停止を知ったのは、友人にYouTube企画の相談をしていた帰り道だったそう。YouTubeからの停止メールも「現実だと思えなかった」という。
「ちょうど3ヵ月くらい前から登録者数が伸び悩んでいたので、変なアダルトグッズを作ったり、動画内容を変えようと準備していたんですよ。レビューはPR案件だけにして。でも、それが全部なくなってしまって、動画編集の仕事もないんだから、1週間まともに寝れませんでした。というか1ヵ月くらい闇落ちしていました。
それから最初は『なんで俺なんだよ! それなら他もアウトだろ!?』って気持ちでしたけど、いまでは他のアダルト系YouTuberがアカウント停止されないか心配です。これからも生き残ってほしいです。エロが息苦しくないほうが美しい世界だと僕は思うので」
自身を「ちょっとバズった一般人」だったというぽんたまん氏だが、今後はどうするのか......。
「ひとつの事業としてYouTubeで成功を目指していたんですけど、その気はまったく無くなりました。いつかアカウント停止されるんじゃないかとか、PRをずっともらうのは大変だなっていう不安はあるので。これからは表舞台に出ずに、裏方に徹する気がします。ありがたいことにPR案件をくれた企業が、いまも動画編集の仕事を振ってくれたりしているんですよ。
一応、YouTubeには新しい動画をアップしているんですけど、あくまで趣味でやっていきます。「一万円」企画も好きだったので、お金に余裕ができたらやりたいですね。他のYouTubeに『一万円の男』として出るのもありかなと思うんですけど、それはどうだろう......需要があれば考えるかもしれません(笑)」
●ぽんたまん
メンズエステや風俗を取材するライター兼YouTuber。現在は主に動画編集者として活動
公式X【@pontaman7record】
公式Instagram【@pontaman7record】
公式YouTubeチャンネル『ぽんたまんれこーど -1.0』