渡辺雅史わたなべ・まさし
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第81回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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今回は2024年最後の連載、そして2025年のお正月で配達から丸7年を迎えるということで、2024年の配達記録から、この1年の傾向や過去7年の配達を振り返ってみようと思います。
ウーバーイーツの配達員が使うアプリには、過去の配達とその時にもらえた配達料やチップなどを確認できる画面があります。
配達でもらえるお金、チップだけでなく、配達で受け取った店の名前、配達先のほか、移動した距離や所要時間も表示されます。
距離に関してはGPSを使用したざっくりしたものなので、電波状況の悪いタワーマンション内を行き来すると、配達距離が実際の距離とズレてしまう場合があります。また、2件、3件同時配達の場合もズレて算出される場合があります。
そんなわけでざっくりとしたデータではあるのですが、すごいのはこれまで配達してきたすべてを記録していて、私が初めて配達をした2018年1月2日から、現在までの6780回の配達をいつでも確認できるということ。
2024年の配達回数は、この原稿を書いている時点で502回とかなり少ない数字でした。去年が2530回なのでおよそ5分の1です。配達回数が減ったのにはいろいろ理由がありますが、大きかったのは夏の暑さ。特に今年は10月に入っても暑い日が続き、昼間にヘルメットを着用した状態で配達すると熱中症になる危険があったため、配達を控えていたら数が減りました。
また、私が配達しているエリアの注文が減ったのか、バイクや軽自動車の方でなければ配達できない長距離の注文が増えたのかはわかりませんが、都内にもかかわらず待機していても1時間以上配達依頼が来ないということも多々ありました。
そんな少ない配達回数の中で感じたのは、ウーバーイーツを経由しての注文が減っているなということ。配達していると、マクドナルドへ行くことが多いのですが、2024年になってから3PRというマックデリバリーの代行配達をすることが多くなりました。
また、よく商品を受け取りに行くオシャレな店でも独自のデリバリーサービスを始めて、このサービスの3PRとして配達することも増えました。最近配達していると、こちらは依頼を受けてからすぐに店に向かって商品を受け取り、すぐに届け先まで行っているのですが、マッチングまでに時間がかかったのか「到着が遅い」とBAD評価をつけられることがあります。
このようなマッチングまでに時間がかかった経験がある方が増えたことから、店が独自にやっているデリバリーサービスを利用する人が増えているのでしょう。
1件だけの配達というのも少なくなりました。過去の配達記録を見ると配達員に入ってくるお金は、1件だけの配達でもらえる金額が1とすると、2件同時配達は1.1から1.5、3件同時配達は1.5から2ぐらい。運営側にとっては同時配達をさせればさせるほど経費が安くなります。
そんなわけで1件だけの配達をやっていると、高確率で配達途中に追加の配達依頼が入ってきます。受けるか受けないかは配達員が自由に決められるので断ることができますが、先ほど書いた通り私の場合は1時間以上も依頼が来ないことがけっこうあるので、断ったら次の依頼がいつ入るかの不安もあり、つい受けてしまいます。
結果、別の依頼を受けることで回り道をするため、最初に受けた依頼の方のところへ行くのは遅れてしまいます。この遅れを誘発するシステムが、各店独自のデリバリーサービスを利用するきっかけとなっている気がするのですが......。
過去7年、6780回の配達をすべて足した配達料はチップを含めて354万6045円。チップは2020年5月から始まった制度で、開始から4年8ヵ月でもらった総額は6万212円でした。そして配達で走った距離は8736.22km。東京からロサンゼルスと同じぐらいの距離を自転車で走ったという計算になります。
ちなみに表示される配達距離は、店で受け取ってから届けるまでの距離のみを算出しているので、受注した場所から店へ向かう距離を含めると、東京からニューヨークぐらいの距離は走っているかもしれません。
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。