2012年にデビューした同期のふたり。田中翔(左)と小松洋平(右)。「マジメすぎるのが田中で、すぐにいなくなるのが小松(笑)」(ライガー) 2012年にデビューした同期のふたり。田中翔(左)と小松洋平(右)。「マジメすぎるのが田中で、すぐにいなくなるのが小松(笑)」(ライガー)

東京・世田谷区の上野毛(かみのげ)にある新日本プロレス道場&選手寮。“世界の獣神”と若手レスラー2名が、日々の生活の様子を公開してくれた!

■崩壊寸前の危機からよみがえった選手寮

今年6月、人気番組『大改造!!劇的ビフォーアフターSEASONII』(テレビ朝日系)で放映され話題になったのが新日本プロレスの選手寮だ。

この物件はもともとアントニオ猪木の自宅だった。それを1972年の新日本旗揚げに当たり選手寮兼道場に改装したのだったが、しかし! 築40年以上となる選手寮は長い年月を経ていつの間にやら外観は塗装がハゲてヒビだらけ、室内も天井が崩落寸前というボロ屋敷に!!

本来なら建て替えが検討されるほどの大問題物件だったが、アントニオ猪木、長州力、藤波辰爾(たつみ)、そして闘魂三銃士らスーパースターたちの血と汗と新日本の歴史がたっぷり染み込んだ、このプロレス最重要文化財を取り壊すわけにはいかない!

そこで、新日本はリフォーム代4000万円を用意。選手寮の“主”である獣神サンダー・ライガーが番組へ応募したのだった。現在、この新しくなった選手寮で住み込み生活をするのは2012年にデビューした新人レスラー、田中翔選手と小松洋平選手のふたりだ。

田中「新しい選手寮は個室になったので今までよりもグッスリ眠れるようになりました」

ライガー「おまえはずっと寝てるよな。何時間寝てるんだ?」

田中「9時間は寝ています」

ライガー「寝すぎだろ! 一方の小松は夜中もずっと部屋の電気がついてるけど、おまえはいったい何をやってるんだ?」

 リフォームした新しい選手寮。棚橋弘至をはじめとするレスラーたちも建築を手伝った。奥にあるのが道場 リフォームした新しい選手寮。棚橋弘至をはじめとするレスラーたちも建築を手伝った。奥にあるのが道場

小松「えっと、メールしたりネットで動画見たり……」

ライガー「動画って、先輩たちの試合のか?」

小松「いえ、女のコがいっぱい出てくるドラマみたいな感じのやつです……」

ライガー「『あまちゃん』か? おまえ、『あまちゃん』がオカズなのか!?」

小松「エロ動画を見てますッ!」

ライガー「そんなの知っとるわ! こんな感じで新しい選手寮は若手選手たちのプライベートが確保できたので、トレーニングに打ち込む環境は整ったと思いますね」

―新人のおふたりは朝8時に起床するのが基本。その後、数々の雑務をこなすそうですが一番キツイことはなんですか?

田中「洗濯です」

ライガー「おーい! 練習って言えよ、『練習以上にキツイものはありません!』って言えよ(笑)。でも、なんで洗濯がそんなにキツイんだ?」

小松「やっぱり、道場に来た全選手のトレーニングウエアを洗濯して乾燥するのは大変です」

ライガー「おまえら、洗濯で失敗したこととかあるのか?」

田中「…… えーと。中西(学)さんのジャージを漂白してしまいました。すいません!」

ライガー「なんで漂白したんだ?」

田中「ポケットに納豆のタレが入っていて、それでジャージが茶色くなりまして、その汚れを取ろうとして漂白剤を入れたら……」

ライガー「あー、それは中西が悪いな。俺が注意しとく。あと、おまえら洗濯のときに芳香剤入れすぎだぞ。誰かにおいのキツイ先輩がいたりするのか?」

 ロッカーや階段の板など、新日本の歴史が染み込んだ古いパーツも再利用されている ロッカーや階段の板など、新日本の歴史が染み込んだ古いパーツも再利用されている

小松「いえ! あれはサービスで芳香剤を多めに入れているだけですっ!」

ライガー「そうか、そうか。あれはサービスなんだな。うぅ~ん!? でもね、ぶっちゃけ、こいつらふたりで雑務をこなしているのは偉いですよ。昔は新人が4人くらいいて雑務を分担していましたからね。彼らの休みは試合のない日曜日だけだから根性ありますよ」

―本来、選手寮に住むのは新人だけですけど、福岡に自宅があるライガー選手は部屋を持っているんですよね。畳敷きでなんとも居心地のいい部屋ッスね!

ライガー「東京で試合のあるときはこの部屋に住んでいますね。トレーニングの後はここでフィギュアを作ってますよ」

―フィギュアといっても粘土から成型する本格的なガレージキットじゃないですか! これはもう工房ですね! 家賃とか払ってるんですか?

ライガー「もちろん! ウン万円。風呂、食事、さらに洗濯付きでこの値段は安いでしょ(笑)」

―今回のリフォームで最もこだわったところは?

ライガー「全部!!(笑)。ちなみに僕の部屋が一番広いんですよ。とりあえずこだわったのは、若手が練習に打ち込める環境をつくること。以前は相部屋だったけど選手個人の部屋を用意して風呂も食堂も広くしました。

あとは新日本プロレスの伝統を守ること。ロッカーや階段など古い寮のパーツも生かしていますから。この伝統を受け継いだ新しいスターが誕生してくれればと思っています!」

●獣神サンダー・ライガー 1989年生まれ、マンガ家・永井豪宅出身。ⅠWGPジュニアヘビー級王座を計11度戴冠し、世界中のレスラーから尊敬されるリビングレジェンド

 自作した怪獣フィギュアでいっぱいのライガー部屋 自作した怪獣フィギュアでいっぱいのライガー部屋

【新人に休むヒマはない! 若手レスラーの一日】 ●8:00 起床後、掃除&洗濯 毎日10人近いレスラーのジャージや下着、そしてタオルを洗濯。これは重労働です!

●11:00 ちゃんこ番 ちゃんこは毎日違う味つけでクッキング。人気はカレーや塩麹味。味はごはんがススむように濃いめ

●夕方~21:00 トレーニング 新人レスラーたちのトレーニングは、雑務のない時間に行なうのが基本。しかも超ハード!

●22:00 入浴 リフォームしたお風呂は大柄なレスラーが入ってもゆったり。脱衣所には日焼けマシンも完備

●23:00 フリータイム、就寝 ひとりひとりに与えられるようになった個室は冷暖房完備。収納スペースもあって快適だ

(取材・文/直井裕太 撮影/平工幸雄)