もはや“伝説”となった昨年の日本シリーズ「楽天×巨人」の余韻も冷めぬうちに、いよいよ今季のオープン戦が始まったプロ野球。

本命不在で大混戦が予想されるパリーグに対し、セリーグは、例年のようにFAで戦力アップした巨人でキマリというムードさえ漂っている。

だが、キャンプを取材してきた関係者たちによると、ある球団が打倒・巨人の筆頭だという。それは、昨季4位で、実に12年ぶりのBクラス転落となった中日だ。

今季から谷繁が選手兼監督に就任、そして落合元監督がGMとして3年ぶりに球団へ復帰。名物の厳しい練習と競争が帰ってきたという。

「新体制になって、選手たちが昨年とは別人のように活気づきました。特に大ベテランの山本昌、岩瀬はオフに投球フォームを修正し、ボールが若返った(笑)。昨季終了後に戦力外になるも、落合GMの就任と同時に再契約した川上も、キャンプのブルペンでは若手以上の球威を見せていました」(名古屋のテレビ局関係者)

球界最年長選手の山本昌は48歳。岩瀬は39歳、川上は38歳。この合計125歳トリオが元気な上、昨季は肩や肘の故障に苦しんだ吉見、朝倉、浅尾という中堅の主力投手たちも順調だ。

「朝倉、浅尾は開幕から問題なくいける状態ですが、あえて無理はさせず、完調になったところで満を持して起用するでしょう。昨年に肘を手術したエースの吉見も、二軍キャンプではバンバン投げていましたが、おそらく復帰は7月あたりかと」(前出・名古屋のテレビ局関係者)

谷繁新監督を支えるブレーンたち

復帰を急がせない理由は、落合GMと同じく3年ぶりに帰ってきた森ヘッドコーチと、DeNAから来た友利投手コーチの存在。ともに育成理論がしっかりしているコーチで、素材のいい若手投手がきちんと伸びて出てくる気配があるからだ。

「もともと中日投手陣には、エース級が欠けても、その分を3、4人で補えるレベルの駒がいる。例えば、ドラフト1位の鈴木翔太は高卒ながら評価が高く、社会人出身で2年目の井上も今季は中継ぎや先発ローテーションの谷間での登板が増えるでしょう」(セ某球団スコアラー)

一方、野手は3年目の高橋周平が伸びている程度で戦力不足は否めないが、こちらは落合GMの球団復帰こそが“最大の補強”になりそうだ。

「おそらくシーズンに入れば、谷繁は捕手に専念し、ベンチでは森コーチが“事実上の監督”として采配を振るう。そして、スタメンや先発ローテはベンチ裏で落合GMが指示を出すはず。肩書上は編成部門の人間だけど、彼が黙っているはずがない(苦笑)。戦力が劣っているときほど、落合さんの的確な選手起用は生きる。今季、巨人の原監督が最も意識する相手は中日……というより、落合さんしかいないよ」(巨人関係者)

落合-森-谷繁という“強竜トライアングル”の復活で、しぶといドラゴンズが帰ってきそうだ。

■週刊プレイボーイ11号「プロ野球キャンプ2014総括ワイド 中日・DeNA・ヤクルトから下克上の予感がプンプンするぞ!」より