日本プロ野球に続き、メジャーリーグの2014年シーズンが開幕した。

今年、注目の日本人選手といえば、なんといってもヤンキースと7年161億円の超大型契約を結んだ田中将大。メジャーデビュー戦は、現地時間4日、トロントでのブルージェイズ戦に決定。昨季、日本プロ野球で伝説を作った右腕が、メジャーリーガー相手にどんな投球をするか、日米メディアの視線が集まっている。

田中に期待するのはもちろんだが、ここでは他の日本人メジャーリーガーにも目を向けてみよう。

まず、すでにチームのエースとしてワールドシリーズ優勝を担う存在になっている2投手が、レンジャーズのダルビッシュとヤンキースの黒田博樹だ。

2人に共通するのは、昨年、打線に泣かされた投手という点。奪三振のタイトルを手にし、サイ・ヤング賞投票でも2位に入ったダルビッシュだが、最終成績は13勝9敗。本拠地で「0-1」の敗戦が4試合もあったのは24年ぶりの珍事だった。

これに対し黒田は、登板時、味方の援護が2点以下だった試合がなんと16試合もあり、これは昨年、メジャーでも3人しかいない“不幸な投手”のひとり。それでも11勝13敗なのだから、打線の援護があれば、さらに勝ち星を積み上げられるはず。

メジャー3年目のダルビッシュは今年こそサイヤング賞を、黒田はあと29勝に迫った日米200勝に向けてひとつでも勝ち星をあげたい一年になる。

復活の松坂、移籍がベストのイチロー

また、昨年、27試合連続無失点や37人連続アウトでレッドソックスの世界一に貢献したのが上原浩治。73試合で防御率1.09は超一流で、走者を出さない能力指数=「WHIP」はメジャーリーグ史上第1位の金字塔だった。

WHIPは1イニング平均の(安打+四球)だが、昨年、上原のWHIP=0.565は1901年以降、シーズン50試合以上登板した延べ4130投手の中で第1位。剛速球はないが、ボール4分の1個分をコントロールする制球力と、ストライクからボールへ落とすスプリットで、今年もボストンの守護神を務める。01年にマリナーズの佐々木が挙げた45セーブという日本人最高記録の更新も見えてくるか。

正念場を迎えているのが、海外8年目を迎えたメッツの松坂大輔。開幕はマイナーで迎えることが決定したが、ようやく復活の兆しが見えてきた。

かつての松坂といえば、ひたすら「どうだ!」と自分の持ち球を投げ込む豪腕スタイルだったが、今季はスローカーブなど遅いボールをうまく使った投球で結果を出している。コントロールもよくなり本人は「近年で一番いい状態」と語るなど技巧派への転向が身を結びつつある。

そして、ヤンキースのイチローは、今季も不完全燃焼の日々が続きそうだ。

外野手としては5番手評価だが、ヤンキースは保険としてイチローをなかなか手放せないでいる。結果、この3年、打率3割を打てていない。特に、左投げ投手の打率が.321に比べて、右投げからは.235と極端に打ててないことは気になるところ。

いずれにせよ毎日、打席に立ってシーズンの深まりとともに調子を上げるイチローには、はっきりいって控えは向かない。移籍するならば、外野が手薄でかつ優勝が狙えるチーム、それはずばりフィリーズかツインズだ。

苦境に立たされているマイナー契約選手たち

マイナー契約選手にも目を向けよう。

まず、メジャー8球団を渡り歩き、通算51勝を挙げた大家友和が今季、ブルージェイズとマイナー契約。大家が11年の右肩の手術をきっかけにナックルボーラーに転向しており、これが球団の目に留まったという。

また、元ロッテのサブマリン・渡辺俊介もオフにレッドソックスとマイナー契約している。ともにメジャー昇格のメドは立っていないが、ふたりの変則投手の活躍を期待したい。

苦境に立たされているのが、レンジャーズ田中賢介、ブルージェイズ川崎宗則、アスレチックス中島裕之の3選手だ。

「『やつはキャラクターの才能がある』と監督に妙なホメ方をされている川崎はまだ内野の控えやバントなど小技の使い手として出番があるかもしれませんが、田中は5人目の外野手評価。昨年、ケガでメジャーデビューを果たせなかった中島は今季、メジャーキャンプにも招待されておらず、かなり厳しい状況です」(スポーツ紙記者)

ほかにも安定感抜群のマリナーズ、岩隈久志、昨季は故障で不完全燃焼に終わったカブスの藤川球児、新天地ロイヤルズで打率.300を目指す青木宣親、レッドソックスの世界一を支えたセットアッパーの田沢純一らのメジャーリーガーがいる。そしてカブスの和田毅、ヤンキースの建山義紀らはマイナー契約からメジャー昇格を目指す。

一試合一試合が、生き残りを賭けた勝負のメジャーリーグ。日本人選手の活躍に期待したい。