なぜか、オリックスが強い。……あまりに失礼な言い方だが、多くの野球ファンはそんな印象じゃないだろうか?
「開幕前、ほとんどの評論家はBクラスを予想。最下位という声も少なくありませんでした。実際には、多くの評論家は宮古島の春季キャンプも半日視察した程度で、取材もまともにしていないんですが(苦笑)。『オリックス=弱い』という先入観があるんです」(スポーツ紙・オリックス担当記者)
ここまで41勝25敗の貯金16(6月22日現在)。その理由は、楽天という“お得意さま”をつくっていること(8勝0敗)。12球団断トツのチーム防御率を誇る投手陣が、先発、リリーフともに整備されていること。もともと小技の利く打者は多かったところに、移籍2年目の糸井、新加入の助っ人ペーニャが中軸として機能し、一気に得点力が上がったこと……などなど。
「一般的に、どれだけ選手の名前、知られていますかね? エースの金子はともかく、リーグトップの9勝を挙げている西でさえ、2年前にノーヒットノーランを達成したことをどのくらいの人が知っているか。中継ぎの佐藤達なんて、すごい速球を投げるんですが、セ・リーグのファンは知らないでしょ」(前出・オリックス担当記者)
そ、そんなことない……と思います……けど……(自信なし)。
それでも、これだけ勝っているのは決してマグレではない。
「交流戦後のパ・リーグは、オリックスとソフトバンクの2強が優勝を争うことがほぼ確実。ソフトバンクはオフに大量補強しましたが、いまひとつ噛み合っていない。ひとりひとりの貢献度は間違いなくオリックスが上。好調な金子、西の先発二枚看板のどちらかが不調に陥っても、このまま首位を争えるくらいの戦いぶりです」(パ・リーグ某球団スコアラー)
イチローら個性派集団を故・仰木彬(おおぎ・あきら)監督が率いた1995年、96年の連覇以来、18年ぶりの優勝もいよいよ射程圏内か?
対照的なのが9連敗を喫してしまった広島
対照的なのが、開幕前の下馬評も高く、4月、5月は快調にセ・リーグの首位を走っていた広島だ。ここにきて9連敗を喫するなど、交流戦でまさかの大失速。首位の座も巨人に明け渡してしまった。
「開幕から好調だった投手陣の疲労がピークに達し、中継ぎ陣の柱だった一岡(いちおか)は肩の故障でリタイア。打線でも5月に堂林(どうばやし)が右手を骨折し、助っ人のキラも不調で二軍降格。地元メディア界隈では、『ここまでか……』という声が漏れ始めました」(地元テレビ局関係者)
ただ、今年の広島はファンがとにかくアツい。地元の盛り上がりに加え、広島戦となれば各地の球場にカープ党が押し寄せ、“カープ女子”も大いに注目されている。6月12日のオールスターのファン投票中間発表では、なんと広島勢6人がトップだった。
ある地元放送局には最近、ファンからこんな投書が届いたという。
〈わがカーブも、連敗して、大敗も多くなりました。しかし、例えば連敗中の6月6日、ソフトバンク戦。スコア2-10の最終回に、會澤(あいざわ)が意地を見せる本塁打を打ってます。翌日のソフトバンク戦でも、2-16で岩本が9回に本塁打を打ちました。こんなことは去年まではなかった。こうした意地がある限り、カープは絶対に勝ちます! 優勝します!〉
アツすぎるファンの期待に、カープは応えることができるか?
「正直、巨人は強いです(苦笑)。広島としては、まずはとにかくエルドレッド、ロサリオという助っ人打者が打ちまくって、疲れ気味の投手陣を助けること。投手陣の復調なくして、夏場の勝負どころは乗り切れませんからね」(前出・スポーツ紙デスク)
オリックス対広島の“新鮮すぎる日本シリーズ”の実現に期待!