1勝もできずにブラジルを去ったザックジャパン。4年後のロシアW杯に向けて、すでに次期監督候補のリストアップは始まっている。
前名古屋グランパス監督のドラガン・ストイコビッチ(49歳)、コロンビア代表を率いて日本を破ったアルゼンチン人のホセ・ペケルマン(64歳)といった名前が挙がるなか、具体的な報道が出ていて、年齢、実績、そして攻撃的なサッカースタイルから本命視されているのが、メキシコ人のハビエル・アギーレ(55歳)だ。
アギーレとは、どんな指導者なのか? 選手として1986年メキシコW杯にも出場しているアギーレは、メキシコ代表監督として2002年日韓W杯、2010年南アW杯の2大会で同国を指揮。ともに決勝トーナメントに進出している。また、クラブシーンではアトレチコ・マドリード、サラゴサ、エスパニョールなどスペインのクラブの監督を務めたことのある名将だ。
実はこのアギーレ、4年前の南アW杯後にも日本代表の新監督候補のひとりとしてリストアップされていた。だが当時は、メキシコ代表監督の任を終えたばかりで長期休暇に入っていたため、オファーを丁重に断ったといわれている。
今回、日本代表監督就任の可能性を伝えたスペイン紙の記事中にある、年俸約2億円という、具体的かつリアリティのある数字(ザッケローニの年俸も推定約2億円。日本サッカー協会が払える予算はだいたいこのくらい)、さらには監督の選定作業を担当する日本サッカー協会の原博実専務理事兼技術委員長がスペインサッカーに心酔しているだけに、4年越しのラブコールを送っているというのは十分考えられる話だ。
欧州でアギーレの需要はまだまだある
W杯を現地取材中のサッカーライター・中山淳氏は、アギーレをこう評する。
「アギーレは欧州のトップリーグのひとつであるスペインのクラブで監督を歴任している、いい監督だと思います。ザッケローニよりも今のサッカーのトレンドに乗っている」
W杯の舞台で采配力を発揮した実績と、世界のサッカーの最先端をいく欧州クラブシーンでの現在進行形の活躍――、日本が目指してきた攻撃的なスタイルの継続を目指すにはうってつけの人材というわけだ。原専務理事ならずとも、ロシアW杯を目指す日本代表の指揮を託したくなる気持ちはわかる。
「ただ、(今年5月末にエスパニョールを退団して)現在フリーとはいえ、アギーレにはまだまだスペインでの需要がある。そういう人物を代表監督に招くとなると、もっとお金を積まないと難しいのでは」(中山氏)
日本代表監督を引き受けるとなれば、欧州から4年間離れることになる。ただでさえ代表監督は“余生”というイメージを持たれがち。今後のキャリアアップが難しくなるかもしれないし、条件交渉がシビアになるのもやむを得ない。
ただし、もし引き受けたとしたら、自らが得意とする戦術と日本サッカーがマッチし、より強くできると判断したということ。アギーレが、キャリアで初めて母国以外の代表監督を受けるかは今後の交渉次第だ。
■週刊プレイボーイ28号「2018年ロシアW杯はアギーレジャパンでリベンジだ!」より