性懲りもなく期待したけど、また裏切られたーー。8月前半までは調子が良かったのに、お約束のようにすっかり“ダメ虎”になり下がってしまった阪神。もはや毎年のことだが、偶然では片付けられない9月の勝負弱さは深刻だ。なんでこうも失速するのか?
ほんの1ヵ月前までは「首位・巨人に肉薄!」ということも何回もあった。しかし、今は背中もかすんで見えない7.5ゲーム差(以下、データはすべて9月21日時点)。このままだと、9月は5年連続の負け越し!
こうなってしまうわけを、いろんな人に聞いてみた。まずは投手陣だ。
「メッセンジャー、藤浪(ふじなみ)、能見(のうみ)、岩田に続く先発の5、6番手が最後まで見つからなかったのも響いた。でも、最大の問題は福原、安藤らベテランに頼りきりの中継ぎでしょう。彼らはよく言えば安定しているけど、決して大化けはしないし、相手に与える怖さがない。そして何より、年間通して投げ切るスタミナがない。夏場以降は明らかに球の力が落ちていました」(セ・リーグ某球団スコアラー)
打線も、鳥谷(とりたに)、ゴメス、マートンのクリーンアップはよかったが、それしかいなかった。
「ケガで長期離脱した西岡の穴を埋めた上本(うえもと)、慣れないサードや外野で頑張った今成(いまなり)も、主軸というほどの存在ではない。結局、目立ったのは投手ではメッセンジャーと呉昇桓(オ・スンファン)、野手ではマートンとゴメス。外国人助っ人におんぶに抱っこでした」(スコアラー)
日本人選手の頑張りに期待したかったが……。
「まあ、でも正直、開幕段階で多くの評論家やメディア関係者は、戦力的には3位あたりが妥当かなと分析していました。逆に言えば、コマ不足をどう首脳陣がやりくりするか――そこがポイントと見ていたんです」(スポーツ紙デスク)
それで現状はやっぱり3位。あれだけ巨人がもたついたんだから、うまくやればいけたかもしれないのだが。7月上旬には、「プロ野球記録の27イニング連続安打! 7連勝!!」なんてド派手な勝ち方をしていたが、今思えば、あれがピークだった。
和田監督はマスコミを怖がっている?
「『打者の好調は、長くて10日から2週間』というのがこの世界の常識。みんなそろって好調だったら、必ずみんな落ちるときがくるんです。だから、順調な時期ほど疲れの見える選手を早めに休ませたり、一軍と二軍の入れ替えをして攻撃陣全体が落ち込まないように工夫するんですが……。正直、阪神の首脳陣にはそういう部分がまったく見られませんでした」(前出・セ某球団スコアラー)
しかし、なんで手を打たなかったのか?
「和田監督は、ヘタに動いて失敗したとき、マスコミから叩かれるのを極度に怖がっているんですよ。だから起用も後手後手。配下のコーチ陣も、自分の責任で動きたくないタイプが多い。だから、選手たちは『誰がどう見ても疲れてる』という状態になって、ようやく外れる。それじゃ遅すぎるんですけどね」(関西のテレビ局関係者)
その理由が「怒られたくなかった」というのもひどい……。
「そもそも、阪神は春季キャンプの練習量が絶対的に少ない。広島やソフトバンクと比べたら、半分くらいという印象です。監督やコーチが、選手をケガさせることを妙に怖がっているからでしょう。そんな雰囲気に慣れた選手たちは、『自分をいじめて鍛える』というプロとして当然の自覚をだんだん失っていく。首脳陣が選手に遠慮する体質のチームは、まず優勝なんかできませんよ」(セ・リーグ某球団関係者)
“ダメ虎”は、問題があまりにも根本的すぎるようだ。
■週刊プレイボーイ40号「怒りの徹底検証 なんで阪神は毎年9月にダメ虎になんねん!問題」より