アジア大会(韓国・仁川[インチョン])が開幕した。男子サッカーは、オリンピック同様に「23歳以下の年齢制限+オーバーエイジ3名」というレギュレーションが設けられている。
連覇を狙う日本は、2年後のリオデジャネイロ五輪を目指す21歳以下のメンバーで参加し、初戦のクウェート戦に快勝したものの、続くこの世代の強豪であるイラク戦には完敗した。ただ、本稿締め切り時点で3戦目のネパール戦の結果は不明だけど、おそらくグループリーグは突破しているはずだ。
そして、いよいよ本当の勝負となる決勝トーナメント。韓国をはじめ各グループを勝ち抜いてきた相手と対戦したときに、どれだけできるか。ライバル国の大半が21歳以下ではなく、23歳以下のメンバー構成で大会に臨んでいるとうハンデはあるけど、ノルマはやっぱり優勝だ。世界で勝ちたいなら、レベルの劣るアジアの大会では常に一番を目指さなければいけない。
U-21日本代表といっても、一般的にはまだ顔も名前も覚えられていない。また、メディアも彼らを「A代表とは別物」といった感じで優しく見ている。でも、そんな彼らも4年後のロシアW杯時には24歳、25歳。代表の中心を担っていてほしい年齢だ。世界の強豪国を見ても、今年のブラジルW杯では20歳前後の選手がバリバリ活躍していた。センセーションを巻き起こしたコロンビアのMFハメス・ロドリゲスも22歳だった。
だから、選手たちには「自分たちはまだ若い」などと思わず、この大会でアピールして、なんとしても10月のA代表の試合(ジャマイカ戦とブラジル戦)に呼ばれるんだという気持ちで戦って、優勝してほしいね。
高さと強さを兼ね備えたセンターバックが不足
今回のチームには、西野(G大阪)、岩波(神戸)、植田(鹿島)という身長185cm以上の長身DFトリオ、A代表招集も近いといわれるボランチの大島(川崎)、身体能力の高いストライカーの鈴木(新潟)など、将来が楽しみな選手も多くいる。
率直に言って、現時点ではA代表の即戦力となる選手はいないけど、A代表は4年後のロシアW杯に向けてスタートを切ったばかり。アギーレ監督も、当面は将来性を考慮に入れたメンバー選考を行なうはず。だから、チャンスなんだ。
特に、今のA代表には高さと強さを兼ね備えたセンターバックが不足している。吉田(サウサンプトン)以外は、誰が招集されるかわからない状況だ。すでにJリーグの所属クラブで定位置を確保している西野、岩波、植田のDFトリオにとってはビッグチャンス。セットプレーなどで高さや強さを存分に見せつけてほしい。
個人的には、アギーレ監督にもぜひ現地に試合の視察に行ってほしいと思っている。アギーレ監督がスタンドにいるとわかれば、選手は「俺たちを見てくれている」とモチベーションが上がるからね。
ついでに、日本サッカー協会にも注文がひとつ。リオ五輪を目指すこのチームは、今年1月のU-22アジア選手権以降、国内で練習試合を数試合やっただけでアジア大会に臨んでいる。今大会終了後のスケジュールも未定のままだ。2年後のリオ五輪で今度こそメダル獲得を狙うのであれば、海外遠征を組んで国際経験を積ませるなど、勝つための強化プランをもっと真剣に考える必要があると思うよ。
(構成/渡辺達也)