シーズン終盤、CS(クライマックスシリーズ)がかかった大事な時期にもかかわらず調子を落としている阪神。5年連続9月に負け越しと勝負どころで失速し、みすみす巨人を優勝させることに……。その原因は、選手と監督双方による責任の押し付け合いにあった?
「今年だって、選手たちの勝負どころの試合に臨む表情は引き締まっていた。でも、どこか内心では『負けても自分たちの責任じゃない、監督の責任だ』と思っていたはずです。戦う前から“逃げ道”がある。だから、切羽(せっぱ)詰まったような気迫がチームに生まれないんですよ」(スポーツ紙・阪神番記者)
敗戦後の和田監督は、負けの原因をつくった選手を記者の前でけなすことはしない。代わりにこう言う。
「僕は○○を信じています」
一見、部下に優しい上司のようにも思えるが、よく考えると「信じて使ってるんだから、応えない選手に責任がある」と言ってるようなものでもある。選手は監督に、監督は選手に責任をそれとなく“横流し”。ある意味、真正面から言い合うよりタチが悪いのだ。
「結局、大事な試合で力を出せなかったのは選手自身の問題。ただ、阪神にはそれを叱る存在が球団内にも外にもいないんです。関西圏のメディアで活動する評論家も、次の監督の下でコーチなどの役職に就きたくて“順番待ち”している人ばかりだから、今の首脳陣の批判はしても選手を叩くことはしない。就任したときに嫌われたくないからですよ」(セ・リーグ某球団関係者)
現状を見る限り、和田監督が来季も留任するとは考えにくい。すでに各スポーツ紙でも“後任探し”は始まりつつあり、気になるのはその行方……。
「再建を託すという意味では、経験豊富な岡田彰布(あきのぶ)元監督の復帰が有力。退団時に球団幹部と揉(も)めましたが、すでに関係も修復したと聞きます。ただ、球団や親会社の阪神電鉄に“岡田アレルギー”がまだ根強く残っていることも事実です」(スポーツ紙デスク)
金本監督で人気も回復だが心配は…
前回の退団後、評論家として歯に衣着せぬ阪神批判を展開してファンに大ウケしたためか、待望論も根強い。ただ、もし復帰となれば、おそらく再び何人ものコーチがこってりと油を絞られ続け、ストレスから体調不良を起こし、退団していく(阪神でも、オリックス監督時代もそうだった)。球団としては“諸刃(もろは)の剣”だ。
「そこで対抗馬になるのが、2012年に引退した金本知憲(ともあき)氏です。星野さんの時代からチームを引っ張ってきた絶対的な存在で、選手にニラミが利き、バラバラになったチームをまとめるには最適という声も多い。ただ、ネックは監督経験がないこと。球団も親会社もある程度、選手が育ったところで満を持して金本さんに任せたいというのが本音です。今のチームの再建を新人監督に委ねるのはかなり勇気が必要だと思いますね」(同デスク)
金本アニキという選択も一長一短ということか……。それでは、決め手になるのは?
「ポイントは、親会社の監督決定に関わる役員などの中で、どれだけ『岡田は絶対イヤ』という声が強まるか。その層が金本支持に回れば、新人監督誕生の可能性が高まる。減少傾向にある観客動員数も金本監督なら間違いなく回復が望めるという計算もあります」(関西のテレビ局関係者)
ところで、ふたりの本命以外に“第三の候補”が浮上してくる可能性は?
「最終的には坂井信也オーナー(阪神電鉄社長)がどんな判断を下すか。彼の思惑次第では“超サプライズ起用”がないとも言い切れないし、逆に内部昇格など超保守的な“妥協の産物”、ファンがシラけるような地味な人選にたどり着くこともあり得ます」(同テレビ局関係者)
とにかく、チーム再建に大事なのは監督人事。個人成績や各部門の数字はどれもパッとしない巨人が結果を出したのも、控えを含めチーム一丸となり役割を全うしていたから。それを引き出したのはやはり原監督の手腕だろう。岡田と金本、どちらになっても今よりはマシになってもらいたい!
■週刊プレイボーイ40号「怒りの徹底検証 なんで阪神は毎年9月にダメ虎になんねん!問題」より