プロ1年目でいきなり11ゴール。FC東京の新人・武藤嘉紀選手 プロ1年目でいきなり11ゴール。FC東京の新人・武藤嘉紀選手

10月10日、14日に再び国際試合に臨むサッカー日本代表。そのなかにあって、今、武藤嘉紀ほど注目度が急上昇している選手はほかにいないだろう。

プロ1年目の今年、所属のFC東京でいきなりのブレイク。ここまで記録したチーム最多の11ゴールは、新人としてはJリーグ史上4人目となる快挙。また、先のベネズエラ戦で生まれた力強いドリブル突破からのアギーレジャパン第1号ゴールは、見る者に強烈な印象を残した。

この1ヵ月で彼を取り巻く環境は一変した。いや応なく高まる期待。過熱する報道ーー22歳の若武者は、自身の現在地をどのようにとらえているのか。NEWS ZEROキャスターを務める山岸舞彩がトップアスリートに迫るシリーズ第5回。

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山岸 代表戦後は身の周りの環境って変わりましたか?

武藤 だいぶ変わりましたね。

山岸 街を歩きにくくなった?

武藤 実はそうなんです。山岸さんは普段どうされてます?

山岸 私ですか!? コソコソしてます(笑)。

武藤 マスクしてます?

山岸 はい。

武藤 するんだー。俺しないんですよね。してると「何(意識)してんの?」みたいになりそうじゃないですか。

山岸 マスクは誰でも普通にするから大丈夫ですよ。サングラスはマズイかもしれない(笑)。だて眼鏡はどうですか?

武藤 最近眼鏡を買いました(笑)。でもマスクは恥ずかしい。

山岸 広報の方が心配するから、してください(笑)。でも、声かけられたりもしますよね?

武藤 はい。一番困るのが、人と食事をしていて、帰りがけに「武藤選手ですか?」ってとき。「話全部聞かれてたー!」みたいな(笑)。

山岸 でもすごく丁寧に対応してそう。取材対応も、練習後のファンサービスもそうですよね。

武藤 ファンは絶対裏切れないので。代表だけではなくて、練習場まで来てくれるファンとか、本当にありがたいですから。

山岸 そういうところが「優等生」といわれるゆえんですね。

武藤 世間の人はそう思ってるらしいんですけれど、本当は全然違うんですよ。記事とか読んで、「うわー、俺もっと違うんだけどなー、これ、まじめキャラになっちゃってるよ」って。

山岸 正直、なっちゃってます。

武藤 FC東京のみんなは超怒ってます。おまえ、まじめキャラやめろ、何いいコぶってんだ、みたいな(笑)。でも取材は丁寧に答えないといけないから……。

実はチームではイジられキャラ?

山岸 チームでは、かなりイジられてるんですか?

武藤 たぶんチーム一のイジられキャラです。詳しくは言えないんですけれど、昨日もチーム内でちょっとやらかしちゃって……。「おまえ、もう今日一日しゃべんな!」って怒られてもニコニコしていられるのが僕の持ち味です。その後、コーチに「ヘラヘラすんな」って叱られて。

山岸 武藤選手のイメージがだいぶ崩れてきました(笑)。落ち込むことはないですか?

武藤 あんまりないし、あってもすぐ切り替えられます。でも前に、ツイッターで他人からの自分の評価を検索してみたときはヘコみました。試合の後とか気になっちゃって。でも、ずしずし心折れて、やめました(笑)。

山岸 絶対やめたほうがいいです! 私も昔見てましたけれど。

武藤 やってました?(笑)

山岸 どんなふうに見られてるのかな?と思って見たんですけれど、あまりにも傷つきすぎてもうやめようって(笑)。

武藤 ほんっと怖いですよね。最近ではいいプレーをしたときだけ、ちょっとだけ見ます。

山岸 そうしてください(笑)。では最後に、今後の目標を。

武藤 まずはFC東京の勝利に貢献すること。自分が点を取ることでチームを助けたい。そしてその先の日本代表定着。「武藤は代表に必要だ」って言ってもらうこと。それが「今見えているところまで」の目標です。

サッカー日本代表武藤嘉紀×山岸舞彩 スペシャルインタビュー 「挑戦者たち」#005 http://youtu.be/gzlgWFfXJrs

武藤嘉紀 MUTO YOSHINORI 1992年7月15日生まれ、東京都出身。身長 178cm、体重72kg。利き足:右 ポジション:FW、MF バディサッカークラブを経て中学校入学時にFC東京‐15深川に加入。以後、同クラブの下部組織でプレーを続け、2011年に慶應義塾体育会ソッカー部(サッカー部)に入部。1年次に左膝半月板損傷の大ケガを負うも、そのリハビリ期間に一からフィジカルを鍛え直し、心身ともに成長を遂げる。3年次に同部を退部し、在学中にFC東京とプロ契約。プロ1年目の今年、ここまでリーグ戦11得点(第26節終了時点)とゴールを量産している。愛称は“よっち”

山岸舞彩 YAMAGISHI MAI 1987年2月9日生まれ、東京都出身。『Jリーグタイム』(NHK BS1)、『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』(NHK総合)のキャスター(2012年にはNHKロンドンオリンピック放送の現地キャスターも経験)を経て、現在は『NEWS ZERO』(日本テレビ系)に、月曜~木曜のレギュラーキャスターとして出演中

(撮影/松井英樹)

■インタビューの全文は週刊プレイボーイ42号(10月6日発売)「挑戦者たち#005」にて掲載。