明日11日(土)から始まるセ・リーグのCS。今年も昨年同様、阪神×広島でスタートし、その勝者がファイナルで巨人に挑む構図だ。

昨年のCSでは初出場の広島がその気勢に乗って甲子園を赤く染め、ファーストステージで阪神を圧倒。怒濤(どとう)の勢いで東京ドームへ進むも、底力の差をまざまざと見せつけられあっさりと3タテで返り討ちに。果たして今年は?

前評判こそ巨人有利の論調が強いものの、ペナントでの戦いを見る限り、去年ほどの強さを感じないというのが多くの関係者の見立てだ。

「今年のペナントは長くて険しく大変なシーズンでありました。(中略)得点力に関してはあまり褒められたチームではありません。しかし、団結力、守備力は80年の歴史の中でも一番強いチーム」ーー先月26日、優勝インタビューで原監督が語ったように今年の巨人は投打で他チームを圧倒した昨年とはまるで別のチー厶だ。

特に打線の低調は深刻で、チーム打率2割5分5厘(9月29日現在、以下同)はセ・リーグ最下位。打線も坂本、長野が打率3割に届かず、阿部と村田もそろって打率2割5分前後、20本と物足りない数字に。

一方、原監督が「80年の歴史の中でも一番」と言った守備力はどうか。確かに防御率こそ3・46とリーグトップも、内海・杉内は今季、そろって成績を落とし、大竹、澤村、セドン、小山の先発陣も安定感はイマイチ。そこへ頼りだった防御率1位の甥っ子・菅野がまさかの故障で離脱という心もとない布陣だ。昨年まで鉄壁を誇ったリリーフ陣も今季は崩壊。救援防御率4点台はヤクルト、阪神に次ぐ安定感のなさ……。

巨人が勝負強いのか? ほかが勝負弱いのか?

こんな状況で、なぜ巨人は2位以下に大差をつけて優勝できたのだろうか?

ひとつ理由があるとすれば、今年の巨人はここぞという試合で負けなかった。それも絶対に。7月8日に首位に立って以来、何度も首位陥落の危機に瀕(ひん)するも、「この試合に負ければ首位陥落」という崖っぷちのゲームになると6戦6勝という驚異の首位キープ力を発揮してきた。これが今年の巨人の勝因といわれる「団結力」であり、「勝負強さ」なのかもしれない。

だが、よくよく考えてみると、これは巨人の勝負強さではなく、広島・阪神の“勝負弱さ”のような気もしてくる。

巨人とこの2球団の今季の対戦成績はというと、巨人から見て阪神戦が13勝11敗、広島戦が13勝10敗1分とほぼ互角なのだ。

ところが……。勝負どころの9月以降に限ってみると、巨人は広島・阪神戦で計9勝1敗という鬼のような強さを見せた。いや、正しくは広島、阪神が鬼のような勝負弱さを見せたといえる。いずれにせよ、シーズン最後の最後でコテンパンにやられた2球団はそのトラウマを引きずったままCSに向かうこととなった。

そんなわけで、今年のCSは「どうして優勝できたか、いまひとつよくわからないチーム」と「鬼のように勝負弱いチーム」×2の戦いに。

もし広島、阪神の「勝負弱さ」がホンモノだとすれば、今年も昨年の二の舞いだろう。だが、今年は巨人だって決して盤石ではない。

なんだか強さを競っているのか、弱さを競っているのかよくわからなくなってきたが、きっとそんなCSなのだ。

(取材/本誌編集部&ボールルーム&オフィスチタン)

■週刊プレイボーイ42号「大特集 CS直前 巨人×広島×阪神ファン600人アンケート」より(本誌では、3チームのファンの違い、特色が浮き彫りに!