今、プロレスブームが再燃! 特に最大手団体・新日本プロレスは選手層が充実し、東京ドームに数万人の観客を集めるなどかつての勢いを取り戻しつつある。
DVDマガジン『燃えろ!新日本プロレス』(小社刊)の大ヒットも、このブーム復活を牽引(けんいん)した象徴とされ、全67号&エクストラ号で累計187万部超を記録!
その『燃えプロ』冊子コンテンツから、プロレスラーの意外な一面を掘り起こした連載「俺の趣味!」を復活公開! トップバッターは、先日IWGPヘビー級王座を奪還したばかりのエース・棚橋弘至が登場。“100年に1人の逸材”は、仮面ライダーなしには誕生しなかった!?
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クウガ、アギト、龍騎(りゅうき)、555(ファイズ)、剣(ブレイド)、響鬼(ヒビキ)、カブト、電王、キバ、ディケイド、W(ダブル)、オーズ、フォーゼ、ウィザード! 平成仮面ライダー14作(取材時。現在は16作)は全部早口で言えます。今日の服はウィザードの主人公・操真晴人(そうま・はると)をイメージしてきました。
仮面ライダーにハマったのは2006年のカブトから。カブトのビジュアルはもちろん、水嶋ヒロさん演じる主人公の天道総司(てんどう・そうじ)がカッコよくて。以来、平成ライダー14作は全部観てます。
一番好きなシリーズはWですね。探偵という設定で謎解きの要素もあってストーリーが秀逸なんです。Wでぐっときたシーンですか? 途中で消えてしまった相棒が最終話で戻ってきたシーンかなぁ。
シリーズにもよりますが、平成ライダーはヒーロー像が複雑なんですよ。龍騎、555あたりは正義が一元化しないというか、誰かにとっての正義は他の人にとっては正義でなかったりとか……深いでしょ? けっこうドロドロした展開もあって、まさにリング上の抗争のようです。
仮面ライダーは僕にとって教科書。いろいろ参考にしてます。矢野通と抗争しているときに言った「さあ、おまえの罪を数えろ!」はWの決め台詞をそのまま拝借しました(笑)。「100年に1人の逸材」もキバの準主役・紅音也(くれない・おとや)の「俺は1000年に一度の天才」のアレンジです。
勝利のエアギターの元ネタを明かす!
ポーズなんかも全部カッコいいんでね、僕が入場して右手人差し指を上げるのはカブトのポーズです。エアギターの元ネタは、響鬼のトドロキが魔化魍(まかもう)という怪人を倒した後に、場を清めるため弾くギターなんです。だから、僕も勝利した後には清めのエアギターを。ちなみに、エアギターの音源はトドロキの清めのギターをアレンジして使ってます。だから、響鬼を観たことある人は「トドロキの曲だ」ってわかるはず。ライダーファンを味方につけるという姑息な発想なんですけど(笑)。
僕は2007年くらいから、さらにチャラくなっていったんですけど……というか、自信家的発言がチャラく受け取られていったんですよ。カブトの天道総司は自分が世界で一番偉いと思っている人で、「太陽が素晴らしいのは塵(ちり)さえも輝かせることだ」とか格言めいたことを言うんです。そういうのを僕がまるまる言い始めたらチャラくなってしまったという(笑)。
仮面ライダーが好きだと言い続けてたらご縁に恵まれてね、新日本とのコラボTシャツが出たり、僕自身もウィザードの主題歌のPVに出させていただいたり。いつか僕も映画とか出たいですね。もし僕をライダーにしてくれるんだったらボディスーツは要りません。裸に直接ペイントでOKですから(笑)。
ライダーも負けることはあるけど、必ず何かしらきっかけを得て前を向いてパワーアップして敵を倒すんですよ。プロレスでも負けるときはあるけど、次はもっと練習して勝てばいいんだということを学びましたね。
■棚橋弘至(たなはし・ひろし) 1976年生まれ、岐阜県出身。IWGPヘビー級王座最多防衛記録(11回)を誇るプロレス界のエース。決め台詞は「愛してま~す!!」
■『燃えろ!新日本プロレス』vol.51(2013年9月26日号)に初出掲載 http://weekly.shueisha.co.jp/moero/main.html
(撮影/平工幸雄)