10月23日、今年もプロ野球ドラフト“運命の1日”に一喜一憂、悲喜こもごも…新しいドラマの誕生に沸いた。高校軟式野球で延長50回を投げた投手の指名も?など事前に期待させる話題はあったものの、今年は特筆すべきサプライズは生まれなかった――。

***

ドラフトも今年で50年目、なかには聞いてビックリという経歴の持ち主もいた。

例えば、別競技のアスリートが球界入りするケース。飯島秀雄(68年・ロッテ9位)は、100m走で五輪に2度出場した陸上選手。茨城県庁から代走専門で入団し、ファンを驚かせた。

また、市場孝之(91年・ロッテ7位)は中学時代に野球と相撲で活躍。いったん佐渡ヶ嶽部屋に入門したが、故障で相撲を断念。高校卒業後に練習生を経てロッテに入団した。早稲田大ソフトボール部出身ながら日本ハムの入団テストに合格し、2011年ドラフト7位で日本ハム入りした大嶋匠(たくみ)も記憶に新しい。

“隠し玉”の選手が指名されると、その所属先に「?」となることも。86年西武1位の森山良二は、北九州大を中退してドラフトを待つ間に勤めていたONOフーズ所属とされ、報道陣が「どこだ、それは!?」と慌てふためいた。

野村克也監督時代のヤクルトで活躍した田畑一也は、社会人の北陸銀行を故障で退社後、実家で大工をしていたが、91年にダイエーの入団テストに合格。ドラフト10位で指名され、「元大工のプロ」と呼ばれた。

最近では、07年に大学生・社会人ドラフト4巡目で阪神に指名された黒田祐輔の所属先「シャンソン化粧品」も話題になった。駒澤大を中退後、プロ入りを目指しながら、地元静岡の同社に契約社員として勤務していたのが真相だ。

また、広島でブレイクした一岡竜司(11年・巨人3位)は、沖データコンピュータ教育学院時代、生計を立てるためにコンビニやイタリア料理店でアルバイトをしていた。学歴も職歴も珍しいケースといえよう。

(取材/キビタキビオ 谷上史朗 取材協力/寺崎 敦)