10月23日、今年もプロ野球ドラフト“運命の1日”に一喜一憂、悲喜こもごも…新しいドラマの誕生に沸いた。2005年に導入されすっかり定着した感のある「育成ドラフト」では、8球団が計23選手を指名した。

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2005年からの2年間は、「高校生」と「大学・社会人」で日を分けた分離ドラフトが実施された。ドラフト1位は「高校生ドラフト1巡目」、「大学・社会人ドラフト1巡目」と呼び名も変更されている。

そしてこの年、新たに導入されたのが、12月に別途開催された育成選手選択会議、いわゆる“育成ドラフト”だった。

この会議は、育成選手制度が正式に導入された12月に大急ぎで行なわれたが、巨人、ソフトバンク、中日、広島が制度を使って計6選手を指名。後に支配下登録され、“育成の星”と呼ばれる山口鉄也(米国ルーキーリーグ・巨人)などが、この第1期生にいた。

また、この年は「若者たちにNPBへチャレンジする場を提供したい」という目的のもとに、四国アイランドリーグが発足。当初はNPBとの間に微妙な空気もあり、大学・社会人ドラフトでは指名ゼロに終わっていたが、この育成ドラフトで愛媛マンダリンパイレーツの西山道隆(ソフトバンク)と中谷翼(広島)の2名が指名され、NPB入り第1号となった。

その後、育成制度は着実に浸透し、10年のドラフトでは総指名97名のうち29名を育成選手が占めるほどに。支配下登録への道は狭き門だが、松本哲也(専修大・巨人)、岡田幸文(よしふみ・全足利ク・ロッテ)、内村賢介(BCリーグ石川・楽天→横浜)など一軍で活躍する選手も出てきている。

契約金を抑える目的で育成指名するケースや、日本ハムのように育成選手ゼロで通すチームがあるなど課題はあるものの、開始から10年がたち、現在ではすっかり定着した感がある。

今年も巨人・川相昌弘ヘッドコーチの息子である川相拓也(桜美林大)を巨人が育成枠2位で指名するなど話題を呼んだ。注目度も増し、下積みからのサクセスストーリーをまた期待したいものだ。

(取材/キビタキビオ 谷上史朗 取材協力/寺崎 敦)